「岡崎(太一)に対する他球団の評価は高い。まあ、以前からそうでしたが…」(球界関係者)
捕手・岡崎は今シーズン、33歳になる。2004年ドラフト会議の自由枠でプロ入りしたが、12年目の今年、初の開幕マスクを勝ち取った。
「昨年の秋季キャンプの時点で、矢野コーチも評価していました」(前出・同)
矢野燿大作戦兼バッテリーコーチ(47)に託したのは、近年のチーム課題だった『正捕手不在』を解消すること。矢野コーチは「横一線の競争」を掲げたが、関西メディアは16年シーズンに3年目を迎える梅野隆太郎とドラフト2位指名の坂本誠志郎の一騎討ちになると見ていた。しかし、今春のキャンプまでの守備練習を見た限り、岡崎の肩の強さ、スローイングの正確さでは若い2人を上回ってきた。
「矢野コーチが岡崎を選んだ理由は、ここまで積み重ねてきた『実績』ですよ」(前出・同)
実績とは、出場試合数のことではない。33歳を迎えるベテランは二軍にいても、常にチームのことを考えて行動していたという。コーチに指示されなくてもブルペンに行って、各投手の投げ込み練習の相手をし、フリー打撃で外野に散らばったボールの回収まで手伝っていたという。裏方のスタッフに任せてもいい仕事である。二軍戦で出場機会がなければ、ブルペンに行く。あるいは室内練習場で黙々とバットを振っていた。チームの役に立つには…。こうした姿勢を矢野コーチは実績として評価したのである。
「岡崎はここ数年、オフになる度に『解雇』の恐怖と戦っていました。去年だって危なかったんです」(関西メディア)
チーム関係者によれば、金本知憲監督(48)はドラフト会議、球団上層部に『選手リスト』を手渡されたという。阪神に限った話ではないが、新任指揮官は「いらない選手名」を聞かれるそうだ。金本監督は「秋季キャンプを見ただけでは分からない」との理由で、その“権限”を放棄した。これによって生き残ることのできた選手がいたとしたら、意を決したはずだ。
育成4年目の原口文仁も結果を出した。阪神スカウト陣には「キャッチャーコレクター」という、有り難くないニックネームもある。たしかに、毎年のように高校、大学、社会人の有望捕手を指名してきただけに、「正捕手不在」に陥るのはおかしい。正捕手争いはもう暫く続きそうだが、他球団が陰で努力してきたベテランを評価していると聞くと、トラの再建は決して遠くないだろう。