「今さらですが、2年連続セーブ王のタイトルを獲得した呉昇桓の抜けた穴が埋まらなかったということです。マテオが不調で、途中から救援にまわった藤川(球児=35)もピリッとしない…。ドリスも同様です」(在阪記者)
一般論として、シーズン途中に獲得した外国人選手は活躍しないケースのほうが多い。途中獲得とは主力選手の故障や不振により、現場からのSOSを受けてから動く。調査に十分な時間をさけないため、日本球界向きかどうかがきちんと見極められないのだ。
昨年のプレミア12ではアメリカ代表として来日していたという。その経歴を指して、「渉外担当者も球場でサターホワイトの投球を見ているはず」と反論する声も聞かれた。そんな“未知数の新助っ人”について、こんな見方もされている。
「メッセンジャーとゴメスが今季で契約が切れます。球団は慰留交渉をするでしょうが、残留の確証はありません。今オフの万が一に備えての『ネットワーク作り』も兼ねて、在米コーディネーターの顔を立てての獲得だったのでは」(プロ野球解説者)
サターホワイトをいったん中継ぎでスタートさせ、その結果を見てからクローザー起用する予定だという。金本監督は新外国人投手の獲得と並行し、投手陣の配置換えも話し合っていたようだ。
「金本監督は『新クローザー』について、腹心の矢野コーチ、投手担当の香田コーチと何度か話し合いの場を設けています。セットアッパーのなかから適任者を探していましたが、先発投手の誰かを配置換えする案が強くなっていました」(球界関係者)
浮上してきた新クローザー候補は3人。一人は昨年オフ、一部の阪神OBがメディア出演した際に推していたメッセンジャーだ。もともとはリリーフ投手である。150キロ近い球速、奪三振のタイトルも獲得した経緯から考えると、適任とも言える。
「藤浪が打球直撃の影響でまだ戦線を離脱しており(同時点)、本格的な復帰までもうしばらく時間が掛かりそう。その藤浪を調整の名目で一時的にクローザーをやらせる、と」(前出・同)
3人目の候補は、ベテランの能見篤史(37)である。能見は昨季終盤、チーム事情でリリーフにまわった“実績”もある。当時も「チームのためなら」の二つ返事で快諾しており、今季は岩貞の成長もあって、「先発ローテーションから左投手がいなくなる」といった事態にはならない。メッセンジャー、一時的に藤浪、能見の3人、こうした情報を聞く限り、サターホワイトは左腕・能見に繋ぐためのセットアッパーとして獲得したとも考えられる。
「まだ球宴前なのに、チームはズルズルと順位を下げ、士気も下がっています。シーズン途中で外国人投手を補強し、配置換えも行うのは『喝』を入れるため」(前出・同)
阪神の主催ゲームの観客動員数は順調に上がっているが、負けが込めば、チーム再建の途中とはいえ、営業面での打撃を受ける。若手も育っているが、やはり金本監督は勝たなければならないのだ。