「今のパ・リーグでは、フライで外野手の間を抜けられない」
パ・リーグは俊足強肩の外野手が多い。「ライナー性のヒットを量産せよ」というアドバイスではあったが、日本ハム打線は糸井嘉男も“喪失”している。打線における『ポスト糸井』と位置づけ、一発も狙えるこの打撃力を磨いてやってもいいのではないかと思った。
日本ハムのキャンプをひと言で表すならば、「大人しい」。ファンの関心は大谷翔平に向いており、斎藤佑樹も二軍スタートとなった。ダルビッシュ、糸井と2年連続で人気選手がいなくなり、華やかさがなくなった。
しかし、興味深い選手は西川だけではなかった。3位指名の投手・鍵谷陽平(中央大)は要チェックである。右のオーバーハンドで最速152キロと紹介されていたが、球速で勝負するのではなく、球質の重さで勝負するタイプに見えた。打者の手元で揺れながら落ちる変化球(パーム?)と、初速がストレートと変わらないスライダーが良い。左足を挙げたとき、上体がぶれるのがちょっと気になるが、斎藤がモタモタしていれば、開幕ローテーションに入ってくるかもしれない。あるいは、増井、宮西、武田久らの救援陣が近年の登板過多からか、スロー調整だったので、セットアッパーの一員として重宝されるかもしれない。また、5位の新垣勇人(東芝)に1年目から出てくるのではないだろうか。鍵谷と同じ右投手だが、腕のしなやかさは新垣の方が上。走者のいないときでもセットポジションで投げており、両サイドのストライクゾーンからボールになる変化球を生命線にしているタイプに見えた。6位の屋宜照悟(JX-ENEOS)も右の技巧派。こちらもセットポジションで投げており、7位の河野秀数(新日鉄住金広畑)はサイドハンドだが、やはり技巧派だ。鍵谷のように際立った特徴はないが、球速なら、屋宜よりも新垣。ボールを低めに集めることなら、屋宜。実戦タイプだと思われるのが、河野だ。河野はキャンプ中盤で出し惜しんでいるのか、変化球は1つか2つしか投げていなかった。スライダー(カーブ?)は曲がり幅が、良い意味で小さい。こういう鋭角で小さく曲がるボールは、対戦打者からすれば「バットの芯を外された」という悔しさが残るそうだ。順調に行けば、20歳以上のこの4投手は1年目から出てくるのではないだろうか。
また、栗山監督は継投策を得意とする指揮官だ。糸井喪失による得点能力の低下は否めないが、投手継投の選択肢が増えたことで、最小僅差を守りきるスタイルは色濃くなるだろう。
日ハムは昨季、対戦チーム別成績で西武、ソフトバンク、楽天に負け越している。勝因はロッテとオリックスから大勝ちしたからだが、打撃戦になった場合、今の打線ではちょっとキツイ。栗山監督は苦言を呈していたが、それはパンチ力のある西川への期待の裏返しと見た方が良さそうだ。