TBSが長年、NHK「紅白歌合戦」の裏番組として放送してきた格闘技イベント「Dynamite!!」に代わる顔として指名したのは、亀田兄弟ではなく井岡だった。2・11神戸で、オーレドン・シッサマーチャイ(タイ)を破り、同王座を日本ボクシング史上最速の7戦目で奪取した井岡は、8・10後楽園で同級1位=フアン・エルナンデス(メキシコ)を破り、初防衛を果たした。この試合を放送したTBS系列の視聴率は、関東地区で平均16.8%、地元の関西地区で19.2%と高い数字を弾き出した。TBSの評価もうなぎ上りの井岡が、“打倒紅白”に向け、担ぎ上げられた恰好だ。
ともに放送時間は未定ながら、テレビ東京が大みそかのゴールデンタイムでWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志(31=ワタナベ)と、WBA世界フェザー級10位の細野悟(27=大橋)のダブル世界戦を放送予定で、紅白の裏はボクシング対決ともなるが、TBS関係者は「視聴率15%は取りたい」と鼻息は荒い。
視聴率獲得に向け、井岡陣営には強力な援軍も現れた。元K-1ヘビー級王者でプロボクサーに転向した京太郎(25=角海老宝石)が、12月2日のプロテストに合格すれば、同大会でデビュー戦を行うことが決まった。昨年末の「Dynamite!!」にも参戦し、フジテレビが放送してきた「K-1 ワールドGP」で顔を売ってきた京太郎の参戦は心強いかぎり。
井岡は「大みそかの格闘技イベントで試合ができるのは幸せ。KOにこだわって試合をすれば、自然と自分がいちばん目立つ」と、視聴率戦争に打ち勝つ意気込みを見せた。
(落合一郎)