※オリックス12勝12敗
▽26日 京セラドーム大阪 観衆 18,868人
オリックスが中島宏之の逆転打で終盤に試合をひっくり返し、連敗を4で止めた。
オリックス先発の榊原翼は、“神童”山本由伸と同じく高卒2年目の今年8月に二十歳を迎えたばかりの期待の若手。プロ初先発をした前回登板となる17日の日本ハム戦(札幌ドーム)では5回を無失点に抑える好投を披露し、チームやファンに新たな希望を与えた。
先発2戦目となるこの試合。対戦相手は同じ日本ハムだが、本拠地での先発は初めてとあって「かなり緊張した」という。2回には「高めを狙って投げた球が失投になった」球を清宮幸太郎に捉えられタイムリー三塁打を浴びると、渡邉諒に犠牲フライを打たれて2失点。「立ち上がりは力みがあって変化球がストライクにならなくて苦しんだ」ようだ。しかし、「榊原に勝ちをつけさせよう」というチームメイトの気持ちが強く、榊原も「(福田)周平さんに助けられた」と話すように味方の好守備にも助けられて、日本ハム打線にこれ以上の得点を与えることはなかった。
しかし、榊原の登板中に打線が援護してあげることが出来ず、榊原は前回より1イニング長い6回まで登板し、96球、4安打、3三振、2失点の好投。福良監督も「前回より変化球に苦しんでいたけど、6回2失点は十分やないですか。勝ちをつけさせてあげたかったけど、来年に繋がるピッチング」だったと高評価。榊原は「6回2失点で試合が作られたのは大きかった。(清宮の第3打席で三振を奪ったときにガッツポーズも出たが?)ストレートの高めがあって、フォークが生きたと思います。あそこは終盤に入るところで点を取られちゃいけないなって、気持ちが入りました。(勝ち星はつかなかったけど、チームに点が入ったときはかなり喜んでいたが?)チームが勝つのは自分の中で嬉しいので。で、いずれ勝ち負けがつくと思ってます。まずはチームの勝利が優先ですね。シーズン終盤になりますけど、来シーズンに向けていいピッチングになりました。(力んだ後に立ち直ったが?)高山投手コーチからもベンチに戻って、修正するアドバイスをもらって、力むとリリースポイントが後ろになってしまうので、もう少し前で投げるようにと言われました。(イニング数は前回より1イニング増えたが?)最後まで行く気満々だったので、もっと投げたかったですね」と2度目の先発マウンドを振り返った。
6回まで日本ハム先発の加藤貴之にわずか1安打に抑えられていたオリックス打線だが、7回にロメロ、吉田正尚の連打で加藤を捕らえると2死を取られ、安達了一を迎えたところで、日本ハムは加藤から浦野博司に交代する。しかし、安達は浦野からタイムリーを放ち1点差に迫ると、8回にはプロ野球通算最多HP達成がかかっているセットアッパー宮西尚生がマウンドへ。宮西を苦手としているオリックス打線だが、この日の宮西は球が荒れており、先頭の伏見寅威を四球、2死からロメロが申告敬遠、吉田も死球で塁に出て、2死満塁のチャンス。ここで中島宏之がチャンス強さを発揮して、2点タイムリーで逆転。最終回は“守護神”増井浩俊が8日振りに登板。無失点に抑えて、トップのソフトバンク森唯斗に1セーブ差に迫る33セーブをマーク。4番手の澤田圭佑が4勝(0敗)目をあげている。
同点タイムリーの安達、逆転タイムリーの中島は揃って「前回に続いていいピッチングをしてくれた榊原に勝ちをつけさせてあげたかった」と悔み、さらに安達は「申し訳ない気持ち」と榊原を気遣った。タイムリーに関して、安達は「相手の投手が変わってくれて、割り切って、チャンスだったので初球から行けました」と語ると、中島は「ひょっとしたら回ってくるんちゃうん?と思いながらベンチにいました(笑)。逆転できて良かったです。(チャンスに強い秘訣は?)秘訣?うーん。わからない。打ったろと思っている部分がいい結果になっているんじゃないですかね。榊原がこの前より長いイニング投げてたから、投げているうちに点を取って、少し間を置いてから増井に繋ぎたかったですね。(ヒーローインタビューのときにファンから声援が降り注いでいたが?)ファンが喜んでくれたら自分も嬉しいので。うん。嬉しいですね」と最後はスーパースター感溢れる笑顔で話してくれた。
この日勝ったことで、日本ハムとの戦績はイーブンに。27日の同カード最終戦は勝ち越しをかけた戦いとなる。オリックスは東明大貴、日本ハムは上原健太が予告先発で発表されている。18時試合開始予定だ。
取材・文・写真 / どら増田