なお、山田は翌2016年(打率.304・38本塁打・30盗塁)も再びトリプルスリーを成し遂げ、日本球界史上初の2年連続、複数回達成者にもなっている。今季もここまで順調に成績を伸ばしていることから、こちらも史上初となる3回目の偉業達成も十分に射程圏内だ。
山田の活躍を見ていると感覚が麻痺してしまいがちだが、トリプルスリーは日本では歴代で10人(11回)、世界最高のリーグであるメジャーリーグ(MLB)でも22人(26回)しか達成者が出ていない非常に珍しい記録で、複数回達成者となると日本では山田のみ、メジャーでも3人しかいない。打力と走力を高い基準で併せ持つことが、どれだけ難しいのかは言うまでもないだろう。
ただ、前述したメジャーの複数達成者3人の内の1人は、過去に3回トリプルスリーを達成する大偉業を成し遂げている。それは、現役通算762本塁打(MLB歴代1位)を記録した生粋のホームランバッターとして、現在でも広く知られているバリー・ボンズだ。
1990年(打率.301・33本塁打・52盗塁)、1992年(打率.311・34本塁打・39盗塁)1996年(打率.308・42本塁打・40盗塁)にそれぞれトリプルスリーをマークし、1993年(打率.336・46本塁打・29盗塁)、1994年(打率.312・37本塁打・29盗塁)にも快挙に肉薄していたボンズ。そのイメージからすると少々意外かもしれないが、ハイレベルな脚力も兼ね備えていたのだ。ちなみに、ボンズは通算で「500本塁打・500盗塁」を達成している史上唯一の選手でもある。
果たして、山田はこのまま3回目のトリプルスリーを達成し、ボンズと肩を並べることはできるだろうか。
文 / 柴田雅人