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リクエスト制度再検証へ NPBに突きつけられた「夏休みの宿題」

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 プロ野球界は誤審で揺れている。サッカー・ワールドカップのVAR制度が有効に利用され、かつその手際の良さを見せられると、「なぜ、プロ野球ができないんだ?」と思ってしまう。聞けば、関係者もかなり悩んでいることが分かった。
「オリックスと福良淳一監督(58)を激怒させたリプレー検証には『続き』があるんですよ」(球界関係者)
 今さらだが、誤審でオリックスを激怒させたのは、6月22日の対ソフトバンク戦だった。同点の場面で迎えた延長10回表、ソフトバンク・中村の放った大飛球がライトポールをかすめて、スタンドに入った。工藤公康監督(55)が「リクエスト制度」を要求し、審判団はビデオ映像で確認した。結果、「ファール」の判定が本塁打に覆り、オリックスはそのまま敗れてしまった。

 問題は、ここからだ。審判団は誤審(当場面からのやり直し)を認める発言をした。しかし、先の関係者が言う「続き」とは、オリックス側が要求した再試合を却下したことではない。NPBの井原敦事務局長は当該審判団に異例の注意をしていたという。
「NPBが問題視しているのは、審判団がオリックス側に映像を見せたことなんです。審判団が確認する映像は球場のバックスクリーンでも映し出されますが、リクエスト制度を導入するにあたって、審判団が確認するモニターテレビは両チームに見せない、また、監督もそれを要求しないことを決めています」(前出・同)

 また、同29日に神宮球場で行われたヤクルト対阪神戦でも“誤審”が出てしまった。
 同点で迎えた7回裏、一死二塁の場面で、サード北條の前に内野ゴロが転がった。北條は補球し、二塁から三塁へ向かおうとしていた走者にタッチしようとしたが、空振り。というか、走者が3フィールドオーバーの「ラインアウト」をおかしてしまったのだが、走者にアウトを宣告しなかった。金本知憲監督(50)の猛抗議に対し、審判は「北條がタッチしようとしなかった」と意味不明な説明をし、試合再開。こちらは「リクエスト制度」を利用できない場面だったが、「セーフ」と誤審された走者が帰還した1点が決勝点となってしまったのだ。

 リクエスト制度を、ワールドカップのVAR制度のような内容に変更できないのか――。
 在京球団スタッフがこんな内幕を明かしてくれた。
「無理だね。W杯は別のところで映像を一括管理しているんでしょ? プロ野球のリクエスト制度は球場に設置されたモニターを見て、審判団が判断します。失礼な話だが、クリアな撮影器具が用意されていない球場もあり、地方球場に行けば、照明が暗くて映像も不鮮明になってしまう」
 12球団が本拠地とする球場では照明のLED器具への変更が進められている。千葉ロッテのZOZOマリンを例に挙げれば、その交換費用は8億円以上とのことで、「誤審ホームランの舞台」となったほっともっとフィールド神戸では、今季のナイトゲームは6試合しか予定されていない。「6試合にために8億円を投じること」はできないだろう。

 リクエスト制度は今季より導入された。2014年、メジャーリーグがチャレンジ制度の名称で本塁クロスプレーや外野フェンスやポール際の“判定が難しい”ジャッジに対し、ビデオ検証することを決めた。しかし、導入に踏み切った一番の目的は、抗議時間を短縮するためだった。
「昨年もメジャーに倣って本塁上での衝突を防ぐコリジョンルールが導入されました。ただ、昨季は球宴休み中にNPB幹部が集まり、その一部を再変更しています。リクエスト制度についても同様の措置が予想されています」(前出・在京球団スタッフ)
 夏休みの宿題というところか…。日本の審判員の能力はメジャーリーグと比べても劣らないという。「高い」と言い切る関係者もいた。そうであることを信じたいが、これ以上の混乱が続くようであれば、NPBは大金をはたいて全球場の照明と映像器具を最新式に取り替えなければならないだろう。(スポーツライター・飯山満)

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