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山手線新駅誕生で京浜急行電鉄が戦々恐々?

 年明け早々の1月4日、JR東日本が山手線の新駅建設を目指すことが明らかになった。予定地は品川〜田町間で、品川駅から1キロほどの地点、地名は港区港南。

 両駅間は2.2キロと山手線の駅間では最も長く、新駅には並行して走る京浜東北線も停車する計画だ。JR東日本では13年度に新駅を含め周辺の再開発工事の着工を目指し、大規模なオフィス街や商業施設の建設が予定されている。山手線の新駅は71年に完成した西日暮里駅以来で、30駅目となる。

 利用者にとっては、大変喜ばしいニュースだ。これまで、建設予定地近くに用務があった場合、品川駅または田町駅から長い距離を歩くか、他路線に乗り換える必要があったからだ。ただ、建設予定地は京浜急行電鉄と東京都交通局(都営地下鉄浅草線)が相互乗り入れする泉岳寺駅(港区高輪)から、ほど近い所にあり、両電鉄にとっては看過できない問題だ。特に京急は山手線新駅誕生に戦々恐々だという。

 京急は都営浅草線、さらに京成電鉄、北総開発鉄道にも乗り入れており、沿線住民にとっては利便性が高い。しかし、泉岳寺駅付近に山手線の新駅ができることで、同駅周辺にビジネスやショッピング目的で向かう流動客が、JRに流れてしまう可能性がある。

 たとえば、JR東京駅方面や渋谷方面から、泉岳寺駅付近に向かうためには、現在は品川駅で京急に乗り換える必要がある。しかし、新駅が誕生すれば、その必要がなくなり、京急の運賃売上が落ちる懸念があるわけだ。現在の泉岳寺駅の1日の乗降客数は、それぞれ約8万9000人。品川〜泉岳寺間の運賃は往復260円で、仮に、そのうちの4万人がJRにスライドしてしまったら、京急の運賃売上は単純計算で1040万円の減収となる。

 むろん、泉岳寺駅の近くにJR山手線の新駅ができることで、両駅間で乗り換える客が増える可能性もあるが、これは不透明。新駅オープンは早くても20年頃とみられており、まだ時間は十分ある。京急では減収対策として、より魅力的な沿線開発、街づくり、企画切符のプランニングをして、備える必要があるかもしれない。
(蔵元英二)

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