同局では、12月29日、31日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催される新格闘技イベント「RIZIN」を年末年始に放送することを決めた。まだ、放送日程は決まっていないが、大みそかにオンエアされることになれば、「PRIDE」以来、10年ぶりの格闘技特番となる。すでに、金曜深夜にプロモーション番組「FUJIYAMA FIGHT CLUB」をスタートさせる力の入れようだ。
同局は「PRIDE」の創生期から中継を始め、大みそかの「紅白」の裏でも放送していた。05年大みそかの「PRIDE男祭り」はゴールデン帯で15%(関東地区)を超える高視聴率を獲得。K-1運営の「Dynamite!!」を上回り、民放トップに輝いた。
しかし、翌06年6月、同局は「放送を継続することが不適切な事象が、イベント会社内であったため」として、PRIDE運営会社・DSEとの契約を突如解除し、放送を打ち切った。その後、PRIDEは運営困難に陥り消滅した。同局は「不適切な事象」の詳細について、コメントすることはなかったが、「DSEと反社会的勢力との交際が原因」(某スポーツライター)とのウワサがまことしやかに流れた。
PRIDEの放映を打ち切った同局の大みそかは迷走が続いた。14年は、「THE FACE OF 2014 世界が選ぶ今年の顔!アワード」(午後6時〜9時)が4.0%、「ワンピース エピソードオブチョッパー+ 冬に咲く、奇跡の桜」(9時〜11時)が3.3%、「2014→2015 ツキたい人グランプリ〜ゆく年つく年〜」(11時〜深夜2時)が2.5%と5%にも届かず。13年の「祝!2020東京決定SP」は2%台で、「紅白」の裏で民放最下位が続いている。
「RIZIN」は元DSE代表・榊原信行氏が代表者となり、統括本部長として高田延彦も復活。かつて、PRIDEのエースだったエメリヤーエンコ・ヒョードル、桜庭和志の参戦も決まり、かぎりなく“PRIDE色”の強い興行となる。元大関・把瑠都の総合格闘技デビューも大きな売りとなっている。
現段階で、「RIZIN」が「紅白」の裏で放送されるか否かは定かではなく、国内の総合格闘技ブームはとうに終焉を迎えている。大みそかのゴールデン帯で放送しても、苦戦が予想される。だが、ここ数年の著しい低迷ぶりを思えば、格闘技を放送した方がまだマシか? 同局が大みそかの番組編成に、ようやく本腰を入れたといえそうだ。
(坂本太郎)