阪神は27日現在、112試合41勝59敗。CS(クライマックス・シリーズ)への出場の可能性は残っているが、3位広島まで8.5ゲーム差、4位ヤクルトまでは6ゲーム差で、4位以上への浮上は至難のワザだ。最下位DeNAには5ゲーム差で、最下位転落の危機もはらんでいる。
ただ、用兵についてはすでに、ベテランや外国人を排除した若手選手起用に切り替えており、もはや今季に関しては、白旗を掲げたようなもの。
この現場の状況に、フロントの動きも素早かった。元阪神監督で、オリックスではGM、監督の経験をもつOBの中村勝広氏(63)が来季、GMに就任することが濃厚となった。オファーを受けた中村氏は「受ける方向で考えている」と語っており、来週中にも正式決定する見込みだ。
また、OBで解説者の赤星憲広氏(36)をコーチとして、招へいするプランもあることが明らかになった。
こうなると、非常にやりづらくなるのは現首脳陣だ。32試合も残しているのに、球団が来季組閣人事へ着々と進んでいる現状では、コーチ陣も落ち着いて選手の指導に当たれない。26日の広島戦では、有田修三ヘッドコーチ(60)が体調不良となり、試合中に球場を離れて静養する波乱があったばかり。有田コーチは胃腸炎といわれているが、失職を恐れて悩んでいたのだろうか。
和田豊監督(49)にとって、中村氏は大先輩で、かつては監督と選手という間柄。さすがに、現役時代、監督だった中村氏がGM職に就くとなると、自分の意見が通りづらくなるのは必至。
和田監督の来季去就は未定だが、不振の責任を取って、わずか1年で辞任に追い込まれる可能性もある。監督を続けても、昔の師匠に気を遣いながら、采配しなければならないという地獄が待ち受けている。和田監督にとっては、潔く身を引いた方が幸せなのかもしれない。
(落合一郎)