「交通安全」
「アッ危ない」
「そのスピードが」
というもの。何度か音読すると実感できるが、どこか中途半端な印象がぬぐえない。標語は3語で構成されることが多いから、その点においてはこの3枚の看板は要件を満たしている。スピードの出しすぎに気をつけましょう、というメッセージであることも伝わってくる。しかし、どうにも座りが悪いのだ。
いちばん引っかかるのは標語が「が」の語句で終わっていること。見方によっては倒置法の文章と取れなくもないが、その効果は全くと言っていいほど表れていない。
横書き看板なので左手から順に読むべきだろう。しかし、念のために逆から読んでみた。
「そのスピードが」
「アッ危ない」
「交通安全」
しっくりこないどころではない。もっとひどくなってしまった。全体的に交通安全を呼びかけている雰囲気だけは伝わってくるものの、標語としてはてんでバラバラだ。
ミステリーじみた標語看板を黙って見上げてあれこれ考えていると、中野区在住の60代男性がそっと教えてくれた。
「おにいちゃん、あの標語は締めの1枚が足りないんだよ。『アッ危ない そのスピードが XXXXX』ってなるんだよ。締めの言葉が何なのかは知らないけどさ(笑)」
なるほど!それなら五七五調になるし、座りもいい。しかし今度は、消えたのか未完成なのかは知らないが、4枚目の看板の語句が気にかかる。「事故のもと」か「死を招く」かな…などと考え始めた。レベル2のミステリーに突入。おそるべし中野駅!