映画『さや侍』は、武士として戦うことをやめた父親(野見)と、そんな父親を軽蔑する娘・たえ(熊田)の葛藤と絆を描く。父親は、刀身は捨てても、さやだけは肌身離さずに持ち歩く。11日(土)から全国で公開。
松本は「ここまで来るまで、すごくつらかった」と映画の制作を振り返った。撮影の初期は「カット、カット」の連続だったことを明かした。しかし、野見の演技を「切腹前あたりから、へたな役者では太刀打ちできない顔を見せてくれた」と絶賛。映画の後半には河原を舞台とする場面もあるが、松本は「このシーンのために一年間やってきたようなもの」と振り返った。河原の場面は、撮影前に「たえと数分、2人だけで話をして、どういう場面なのか説明した」という。松本自身が「内容は自分の内面が出ちゃってますね」と明かした場面も含まれるが、「すごくいいシーンになった」と、映画の完成度に自信をのぞかせた。
また、米コロンビア映画でのリメイクが決定した『大日本人』には、松本が何らかの形で制作に参加する予定とか。ハリウッドでのリメイクや、『さや侍』のスイス・ロカルノ国際映画祭での特別上映決定をうけ、松本は「僕がおもしろいと思うことを、世界をからめながらできる状況がやっと整ってきた」「笑いを世界に届けていくしかない」と語った。また、『さや侍』がリメイクされることになったら、「野見さんがやった役をジョニー・デップでやりたい」と告げる場面も。
最後に松本は、野見がポケットに入れていた携帯電話機がはるか昔に契約を解除されていたエピソードを語った。会場からは笑いが起こるが、「野見さんにとっては最後のステータス、プライド」と語る松本の表情は真剣。「疲れているおっちゃんもみんな、さやは持っている。おっさん、がんばってくれたらいいなあ」と語った。(竹内みちまろ)