1969年のある日、懇意にしていた作家、三島由紀夫の家で開かれたパーティーに出席した彼は、三島の背後に奇妙な人影がついて回っているのを目撃してしまう。何だろう、と思って彼が目をこらすと、それは青年将校の霊であった。
「先生の背後に2.26事件で亡くなった青年将校の霊がついている」
彼がそう三島由紀夫に忠告すると、三島は驚きつつも「誰がついているのか教えてくれ」と言って、冗談交じりに2.26事件に関係した青年将校の名前を挙げていった。そして、三島が「磯部浅一」という名前を挙げた瞬間、美輪は頷き「その人だよ、先生の背後にいるのは」と答えた。美輪の回答を聞いた三島の顔色が変わった。実はこの当時、三島は国としての日本や自衛隊のあり方について疑問を持っており、軍部クーデターである2.26事件についても調べていた。事件に関わった人物の中で、彼が特に調べていたのが磯部浅一だったという。
この時、忠告した美輪も三島に不吉な予感を覚えていたのだ。翌年の3月、美輪は三島が主催する芝居のサークルにて主演する予定であった役者の内田正勝氏にも以下のような事を述べて助言している。
「昭和45年(1970年)には先生に悪いことが起きる。あなたは一緒にいる機会が多いので注意して下さい」
しかし、美輪の不安は的中してしまう事となる。この年の11月に、三島は憲法改正のための自衛隊決起を呼びかけた後に割腹自殺を図る、三島事件(楯の会事件)を起こしてしまったのだ。
このように、昔から霊であったりスピリチュアルな体験には事欠かない美輪だが、実は「霊が見えない」とある番組に出演した際に明言している。というのも、かつては霊が見えすぎていたために神様にお願いしてその力を封印してしまったのだという。しかし、必要になったときには神様から力が降りてきて、全てが見えてくるようになるとも答えている。
色々な人が引退するなど、閉塞した今の芸能界。この状況を覆すのは、やはりスピリチュアルなパワーに溢れた美輪さんしかいない!?