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黒澤明のファンに新世代登場。カラー時代の黒澤作品への評価が高まる

 黒澤明といえば説明するまでもない、日本映画を代表する映画監督の巨匠の一人である。
 今年(2010年)は黒澤明生誕100周年の記念すべき年であったため、黒澤明の映画作品の上映なども例年以上に多く行われた。

 黒澤明の代表作といえば、『七人の侍』や『生きる』『用心棒』などといった比較的初期の作品の人気が特に高かったという印象がある。
 『どですかでん』以降、カラーの映画を撮るようになってからの黒澤作品はファンの間でもいまいち評価が低かったというのが、まるで通説のようにもなっている。

 だが、どんな作品にも新たなファン層というものは育ってくる。
 たとえば『スターウォーズ』なども新3部作が公開された時には、旧3部作からシリーズを見続けてきたファンからは酷評も多くされた。
 日本の長寿映画シリーズである『ゴジラ』シリーズも、平成以降に公開された作品は、以前からのファンからは酷評される機会が多かった。

 だが、スターウォーズの新3部作も平成ゴジラシリーズも、気がつけば新しいファン層が開拓されていたのだ。
 映画に限らず、幼い頃、若い頃に見た作品にはどうしても強い思い入れを抱いてしまうものであるし、その後に作られた作品への評価は厳しくなってしまうということは多い。
 だが、新しい世代の人間にとっては、初期の作品も最近の作品にも思い入れの差というものはない。ある意味、平等な目で作品を見ることができるようになったといえるのかもしれない。

 そんな中でカラー時代の黒澤明作品の評価も、主に若いファンを中心に盛り上がってきているのだ。
 先日、20代の映画ファンの方たちの集まりに筆者も参加する機会があったのだが、彼らは『七人の侍』や『用心棒』について話す時よりも『どですかでん』や『夢』について語る時の方が熱く、そして会話も弾んでいた。

 晩年の黒澤明作品はいまいちだという印象を抱いていた方は、この機会に先入観なしに、カラー時代の黒澤明作品を再見してみてはいかがでしょうか? 何か新しい発見があるかもしれませんよ。

(「作家・歩く雑誌」中沢健 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

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