このミュージアムでは9月27日まで「広告青春時代」と題して、懐かしい昭和の広告を並べた企画展を開催している。
壁に並ぶのは、戦後復興から大阪万博までの昔懐かしい貴重な広告。戦後から高度経済成長期へと駆け抜けたこの時代の広告からは、敗戦から明日を夢見て未来へと歩み続けた当時の人々の夢や希望が伝わってくる。日本人の目が一番輝いていた時代といってもいいだろう。
「一家に一台」が家族の夢だったコロナやブルーバードの新聞広告。裸の女性が赤ワインを持つ姿が目に焼きつく赤玉ポートワインのポスター。景品表示法が施行される以前の薬の広告では、懸賞でなんと家が一軒当たってしまうなんてものも!大量消費時代を支えた広告に思わず目を奪われる。ノスタルジックな世界に浸ろうと、当時青年だった中高年がこの夏、続々とミュージアムを訪れているという。
学芸員の坂口由之さんは「豊かさに満ちたアメリカ型生活に追いつけ、追い越せと、この時代の広告にはまぶしいほどのカタカナがあふれています。その後、街頭テレビで力道山がアメリカ人をなぎ倒す姿に当時の国民は歓喜し、テレビという新しいメディアの誕生とともに、広告は希望に満ちた青春時代へと入っていくのです」と微笑んだ。広告を通じて振り返る昭和も、また別の発見があって面白い。
▽入場無料。開館時間=11時〜18時30分まで。休館日=日・月曜。