『DESTRUCTION in BEPPU』
▽17日 大分・別府ビーコンプラザ 観衆 2,280人
新日本プロレスの今シリーズ3大ビッグマッチ第2弾『DESTRUCTION in BEPPU』が17日 、大分の別府ビーコンプラザで開催された。
タイトルマッチを重んじる思いが強い内藤哲也は、試合順に不満を示していた。NEVER無差別級選手権ではなく、ノンタイトルマッチの自身の試合がメインイベントになったのだ。これに乗じて対戦する前王者の鈴木みのるや、セミファイナルで同王座の選手権試合を行う現王者の後藤洋央紀、挑戦者のタイチに対して、ギリギリまで挑発を続けた。内藤はみのるの気持ちを少しでも引き出そうとしていたようだが、主催者側は予定通り内藤対みのるをメインイベントに据えた。
セミファイナルでは、後藤に挑戦したタイチが今年からヘビー級に転向したにもかかわらず『G1クライマックス28』に出場できなかったうっぷんをぶつけた。タイチは、飯塚高史、金丸義信ら鈴木軍のメンバーを介入させ、マイクスタンドなど凶器攻撃、急所攻撃などで後藤を追いつめた。
「あいつが何でG1に選ばれなかったのか教えてやる」と意気込んでいた後藤も負けてはいなかった。タイチの技を次々に返し意地を爆発させていたが、最後はタイチ式ラストライドから、ブラックメフィストが決まり3カウント。タイチが新王者に輝いた。タイチはベルトを踏みつけたり、バックステージで床に投げ捨てるなどの暴挙に出た。さらに「新米社長をはじめ上層部は頭を下げに来い」とハロルド・メイ社長ら新日本のフロント陣に対し、G1に選ばなかったことに謝罪するよう要求した。タイチのフロント批判にメイ社長がどのように応じるのか注目だ。
タイチのベルト奪取に会場がざわつく中、みのると内藤が入場。4.29グランメッセ熊本大会以来、約5カ月ぶり、今年2度目のシングル対決となった。前回もみのるが内藤を逆指名するような形で、みのるのIWGPインターコンチネンタル王座に内藤が挑戦。内藤がタイトルを奪取している。
試合は前回よりもさらに厳しいみのるのサブミッション攻撃に、内藤が何度も顔をゆがめる展開になった。特に膝に爆弾を抱えている内藤にとって、ヒールホールドなど足への関節技はかなりキツかったはず。しかし、内藤は場外戦やスピードを使った動きでみのるを翻弄。最後は強烈な張り手合戦を制した内藤が、延髄斬りから掟破りのゴッチ式パワーボム(パイルドライバーを狙ったと思われるが、パワーボムの体勢になった)を放った。これを決め、正調デスティーノでみのるを沈め、30分を超える死闘は内藤が逆転勝ちで幕を閉じた。
バックステージで内藤は「変わろうとする思い、変わろうとする覚悟、そして一歩踏み出す勇気も大事なんじゃないかなって、4月の熊本大会のお客さまの前で言ったんだけど、まさにわれわれロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンが今こんな状態(高橋ヒロムが怪我で長期離脱)になって、われわれにピッタリの言葉なんじゃないかなって、ちょっと思ったりもしたけどね」としみじみ。「一歩踏み出す勇気…。これが何を指しているのか?俺が何を考えているのか?みなさまでいろいろ想像して楽しんでくださいよ。答えはもちろん!…トランキーロ!あっせんなよ!」と意味深発言。
バレットクラブに続いて、CHAOSにも内紛が起こっている中、盤石の結束力を誇るロスインゴと鈴木軍の大将対決を制した内藤が新たに考えていることは何なのか?来年1.4東京ドーム大会で何を狙っているのか?負けたままになっているクリス・ジェリコとの再戦はあるのか?今後の動向が注目される。
取材・文・写真 / どら増田、萩原孝弘