しかし、外資系企業では、実際に政府関係施設のセキュリティ資料や、防衛関連の重要資料などの情報漏洩防止のために、スパイ対策の講習が定期的に行われているという。
一般的なビジネスマンが恐れるべきは、“企業スパイ(産業スパイ)”。ライバル企業に転職をした元従業員や、会社に不満のある現従業員などもスパイと化す可能性があるという。そのために企業は、セキュリティを強化したり、社員の意識を変えるなど対策を取っている。しかし、相手がプロとなると並の対策では太刀打ちできないだろう。
そこで、企業の研修では、現在暗躍する国家レベルやテロ組織のスパイ達が、敵対する国の情報や、テロ対策の機密などを握っていそうな人物を探すために、どういう動きをしているのかを教えているという。
プロのスパイは、意外にもまず“SNS“のチェックを日々行っているとのこと。パーソナルインフォメーションをプロフィールに載せている人に目を付け、職業や趣味を確認。欲しい情報を持っていそうなら、投稿内容から行動パターンを察知し、接触を図るというのだ。
例えば、ロシアのスパイ組織が、欧米諸国の情報を入手したい場合には、以下のような手順を踏むということだ。
SNSのプロフィールに「40歳の結婚願望のスゴい独身男子です!」とある男性を見つけたスパイは、行動をタイムラインでチェック。どうやら金髪女性が好みらしく、ロシアンパブで週末は楽しんでいる様子がわかった。名前を照らし合わせた結果、外資系企業に務めていることも判明。
そこで、行動開始したスパイ側は、まず、ロシアンパブに金髪美女スパイを送り込み、男性と接触し、薄給な上に遊び好きなため経済的に厳しいことを知る。次には、やすやすと身体を許し男女の仲となり、すっかり虜になった男性は足繁くパブに通うようになる。ツケで遊びまくり金銭的に苦しくなってきた男性は、以前から頼まれていたが躊躇していた、仕事で携わっている企業秘密を安価で漏洩してしまう…というショッキングなストーリーが紹介されているそうだ。
こういったスパイ活動は、ロシアや北朝鮮、中国などの国に多く見られるという。大使館主催のパーティーや催し物には必ずとも言ってよいほどの確率で、スパイが目を光らせているとのことである。これらのことが、国家レベルのスパイに限ったことでなくなる日も近い。
日々仕事上、重要な情報に携わっていると、取り扱い方が雑になることもあるだろう。だが、それはスパイにとっては喉から手が出るほど欲しい情報かも知れないのだ。一般のビジネスマンであっても、無意識に相手に有益な情報を漏洩させているかもしれない。SNSで過剰にプライベートを晒すことで、スパイの魔の手が伸びてくるきっかけとなる可能性もあるのだ。