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「毒入りのチョコをばらまく」主婦はなぜグリコ森永事件を真似たのか【背筋も凍る!女の事件簿】

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 1984年〜1985年にかけて、関西地方を恐怖に陥れた『グリコ・森永事件』。江崎グリコの社長を誘拐し、身代金として現金10億円と金塊100kgを要求され、その後も多くの食品メーカーに脅迫文が届いた本事件は、「昭和最後の怪事件」「劇場型犯罪」として現在まで語り継がれている。

 さて、本事件はその劇的な手口から模倣犯が多く現れた事件として知られているのだが、その模倣犯の中には、ごく普通の主婦もいたという。

 グリコ・森永事件から1年が経過した1986年8月、大阪府内の森永製菓工場に、森永チョコレートと一枚の脅迫状が届いた。脅迫状には「同封のチョコレートを検査せよ。8月12日午前11時半、○○病院2階の女子トイレに200万円入れておくこと。取引は1回かぎり。12時までに取引が完了しないとスーパーに毒入りのチョコレートをばらまく」と書かれていたという。

 文面の手口から、グリコ・森永事件を模倣犯であることは間違いなく、森永製菓工場は警察に相談。現金の受け渡し先が女子トイレということもあり、犯人は女性の可能性が高く、警察は犯人をあぶりだすため、森永側は凶悪犯の言う通り、指定された○○病院の女子トイレに現金200万円を持参したという。そして、午前11時45分ごろ、脅迫状通りに犯人が現れ、持っていた紙袋に200万をブチ込み病院を出た。そして、張り込んでいた婦人警官により犯人は敢え無く逮捕された。

 犯人は単独犯で、大阪府内に住む43歳の主婦であった。あまりに素人らしい隙のある手口だったため、警察はプロの仕業ではないと睨んでいたが、まさか40代の主婦が犯人だとは露にも思わず、衝撃が走ったという。

 供述によると、この主婦は徳島県生まれで、職人の夫と高校生2人の4人家族の幸せな家庭を築いていたという。しかし、生活は不安定であり息子の学費にも困っていたという。主婦は犯行について、「グリコ・森永事件を真似れば簡単に大金が入ると思った」と言い、森永製菓を選んだ理由についても、「手紙を出す前夜、工場のネオンを見て犯行を思いついた」と突発的な犯行であったことを認めている。

 他にも、グリコ・森永事件に影響を受けたと思わしき模倣犯は、警察の記録によると10件以上あるとされており、一時期、関西地方では社会問題になっていたという。

文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)

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