まず、ボルトン氏は現在のトランプ大統領についてこう指摘した。
「意図的にイエスマンだけで側近を固めていて、トランプ氏には一貫性がない。日本の総理大臣は個人的な関係を構築することが極めて重要だ。彼は戦略的・国家安全保障的な観点でものごとを考えない。個人的な関係が良好な国とは良好な関係にあると考える」
安倍晋三元首相はトランプ大統領と良好な関係を築いた世界でも数少ないリーダーの1人だ。その安倍元首相とは「自動車に追加関税を課さない」というディールを結んでいたが、今年その国家間の約束を簡単に反故にした。赤澤亮正経済再生担当大臣が関税交渉で苦労する事態となったのは日本で誰もが知るところだ。トランプ大統領はそのことを問われたとき「シンゾーもあれは悪いディールだったと知っていたはずだ」ととぼけていた。
ボルトン氏が指摘するように、トランプ大統領に戦略的思考が欠如しているのは確かで、高市新総裁が良好な個人的関係を築けるかどうか、約3週間後の初対面は極めて重要である。さらにボルトン氏は新総裁へのアドバイスを続ける。
「新しいリーダーはトランプ氏を聞き役に回らせてはいけない。彼は自分が話し手にならないとイヤな人間。長い文章はめったに読まない。きれいな色付きの図表が彼の関心を引く」
色付きの図表を好むとは稚拙に感じてしまうが、日米関係についての姿勢はどうだろうか。ボルトン氏は「残念ながら日本のリーダーたちがトランプ氏に日米関係の重要性を思い出させるのはかなりの努力が必要だ。彼は『日本を守っているが見返りがない』という主張に囲まれている。彼と付き合うのは難しいが、永遠に続くわけではないということ。日本は長期的な視野で考えるべき」とアドバイスした。
3年後の今頃、トランプ大統領の残りの任期もわずかで、米国内で誰も彼を相手にしなくなっているかもしれない。しかし、その3年をどうやってしのぐか、世界中で多くの国が悩んでいる。