TomASMRは、フランスを拠点に活動している人気YouTuberで、ASMR(自律感覚絶頂反応)のコンテンツを多数制作、投稿して、登録者数は99万人に上る。過去の動画でも、スーパーマーケットで商品をたたいたり、振ったりしている動画を投稿して、登録者数を伸ばしてきた。
今回の「ASMR IN FUKUSHIMA」と題した動画は、波江町内の帰還困難区域で撮影されたとみられる。TomASMRは、白い防護服のようなものを身にまとい、道路沿いのベンチや鉄柱、地方銀行の自動ドアなどを指でたたき、もう一方の手でマイクを近づけて音を録るという動作を延々と続けた。時折、マイクを放射能測定器とみられる機器に持ち替え「オーマイゴッド」と叫んでいる。
場面は民家の外観に移り、伸縮するアコーディオン式の門扉や、玄関外の柱をたたき、その後、散乱した和風の室内が映し出された。タンスや机、ピアノ、階段、テレビなど、室内にあるものを手当たり次第たたいていく様子が映し出されている。
動画のコメント欄でTomASMRは、「立ち入り禁止区域やレッドゾーンには行かず、許可された区域のみを訪れました」と主張している。だが、視聴者からは「元居住者でなければ立ち入り禁止のようです。そもそも、現実的に考えて、民家への立ち入り許可が下りると思いますか? 誰が、どのようにして許可を得たのですか?」「禁止区域じゃないとは書いてあるんだけど、住居に侵入している時点でまずいと思うんだけど……。これは前いたTikTokerと同じ道をたどりそうですね」と不法侵入を指摘する意見が相次いだ。ほかにも「私は韓国人ですが、この映像は福島を卑下する意図がある」など、動画内容を批判するコメントは海外にも及んでいる。
9月24日には、ウクライナ人の迷惑系YouTuber3人が福島県大熊町の空き家に不法侵入し、宅飲みする様子を日本最大の掲示板サイト「爆サイ.com」の公式Xがアップした。動画では「原子力発電所の停止ボタンを押す」と言っていたが、最後は邸宅侵入の現行犯で福島県警に逮捕された。
今回の動画も逮捕されたウクライナ人と同様、不法侵入にあたる可能性が高い。TomASMRにも県警の捜査が及ぶのだろうか。