4月30日に登録抹消されたが、5月はファームで3試合に登板し、2勝0敗、防御率1.89と結果を残し、約1カ月ぶりとなる一軍のマウンドへと復帰。立ち上がりは生命線の低めの制球が今ひとつだったが、それが逆にドラゴンズ打線を戸惑わせる結果に。5回に味方に3点を先取してもらうと、その後は変化球も切れ始め、スイスイとアウトを積み重ねていった結果、遂に最終回もマウンドに上がった。
プロ入り初の完封劇をめざしたが、2アウトから連打で2人ランナーを出してしまったところで、三浦大輔監督は抑えの切り札・山崎康晃に交代を決断。山崎がヒット1本を許し、1点自責点が付いてしまったが、今シーズンの初勝利はチームの連敗を4で止める殊勲のピッチングとなり、交流戦最後の試合を勝利で締めることに成功した。
試合後大貫は完封を逃したことに「悔しいです」とキッパリ言い切り「完封は初めてだったので、したいなっていう気持ちはあったんですけど…もっと頑張ります」と次戦を見据えた。ファームでの調整にも触れ「しっかりと自分のできることっていうのをやってきた」と振り返り、4月の2登板には「悔しい結果が続いていた」と反省。その上で「こうして長いイニング投げることができたのと、初勝利できたのはすごくうれしいです」と笑顔を見せた。
間近に迫ったパ・リーグとの戦いには「チャンスをいただけたら、しっかりと今日のようなピッチングができるように頑張ります」と謙虚な姿勢ながら「交流戦優勝、そしてシーズン優勝めざして頑張っていきます」と最後は大きな目標を掲げていた。
開幕前は右肩の肉離れでリハビリ組入りし、その後も本調子からはほど遠いピッチングで周囲を心配させていたが、この日の快投でそれを払拭してみせた大貫晋一。悪いなりにもゲームメイクする安定感はチーム随一だ。“右のエース”の復帰は、交流戦に向けこれ以上ないグッドニュースとなった。
写真・取材・文 / 萩原孝弘