その開幕戦こそ期待に応えることはできなかったが、その後は“らしい”ピッチングを続け、ローテーションピッチャーとしての役割を全うしている印象だ。
24日に敵地・東京ドームで行われたジャイアンツ戦でも、斎藤隆チーフピッチングコーチの「調子自体は悪くないと思う。勇気を持ってインコースへ投げ込めるかがポイントになると思うので、キャッチャーの戸柱(恭孝)とコミュニケーションを取って投げていってほしい」との要望通り、ときには内角を突き、ときには相手の打ち気をそらすスローカーブで打者をほんろうした。
7回1失点とハイクオリティスタートを達成する快投を披露したが、味方打線が沈黙とかみ合わず、悔しい2敗目を喫してしまった。
登板後、本人も「ランナーを背負いながらも自分のピッチングスタイルでもある粘りの投球はできたと思います」と一定の手応えを口にしたが「守備の時間が長くなってしまい攻撃のリズムを作れなかったことは反省点です。また、岡本(和真)選手に本塁打を許してしまった場面ですが、慎重にならなくてはいけないと分かっていたのですが失投になってしまいました」と、十分すぎる結果を残しながらも、その責任感からくちびるをかんだ。
しかしこの日の好投で防御率は2.20まで下がり、奪三振数をチームトップの36まで伸ばすことに成功。今シーズンは崩れた開幕戦を除くと、6試合の防御率は1.70と優れた数字だ。そのうちクオリティスタートが4回、2回はハイクオリティスタートと安定感も抜群となっている。それ以外でもなんとか5回まで踏ん張るなど、調子の悪いときでもゲームメイクしてくれる安定感は、ブルペンの運用のゲームプランなども含めて、チームへの貢献度は高い。
昨年オフは複数年契約を蹴り、単年で勝負を懸けることを選択した石田健大。酸いも甘いも経験した左腕はクールにスマートに、淡々と結果を残し続ける。
取材・文・写真 / 萩原孝弘