21日に横浜スタジアムで行われたスワローズ戦では、1点ビハインドの7回、ワンアウト3塁のチャンスの場面に、好投していたエース・今永昇太に代わり代打で登場。シュートが武器のヤクルト・木澤尚文のインコースのカットボールを振り抜くと、打球はライトのサンタナの前で弾む貴重な同点タイムリーヒットで、試合を振り出しに戻した。本人も「打ったのはカットボールです。絶対に事を起こそうと思って打席に向かいました。一発で仕留めることができ良かったです」と納得の一打。勝利とはならなかったものの、結果的にはチームを引き分けに導く殊勲打となった。
大卒5年目の昨シーズン、自己最多の94試合出場で打率.252、ホームラン6、打点26と結果を残すことに成功し、今シーズンは開幕スタメンを奪取。大きく飛躍する年として期待されたものの5試合ノーヒットに終わるなど苦心した。だが今シーズンの初ヒットが代打で試合を決める3ランホームランとなるなど印象に残る活躍を見せた。
現在打率は.196と低い数字となっているが、得点圏打率となると.375と跳ね上がる。また今シーズン放っているヒット9本のうち、試合を決める決勝打が3本、同点や勝ち越し打も3本と、三浦大輔監督の器用にことごとく応える活躍を見せている点も見逃せないポイントだ。
2年目のオープン戦でも打率.388と打ちまくり首位打者を獲得。しかしその後は殻を破りきれぬ状況が続いたが、昨年同じ天才肌の鈴木尚典コーチに「本能で打て」との金言を授かると8月は打率.274、9月は打率.345と成績も向上。もともと、きっかけさえつかめればブレイク必須と言われていた天才バッター楠本泰史。まず勝負どころの貴重な代打として結果を残し、ゆくゆくはバリバリのスタメンとして花を咲かせてみせる。
写真・取材・文 / 萩原孝弘