5月16日、トレバー・バウアーが来日3度目の先発マウンドに上がった。しかし、2度目の対戦となる広島打線に捕まり、2回被安打8失点7でKOを食らった。
メジャーリーグ名鑑(廣済堂出版)などのデータによれば、「2試合連続で計14失点」は、2019年8月のレッズ時代以来の屈辱だ。試合後、バウアーは冷静な口調でこう語っていた。
「今年一番の状態で、制球も良かった」
さらに、「2ストライクから(の自分の被打率は)1割7分、7割打たれることなどない。だが、ストレート、カット、カーブ、スプリット、全てをコンタクトされた」と数字を並べながら首を傾げていた。
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同日の最速は、157キロ。取材エリアから見る限り、変化球もえげつない角度で曲がっていた。それでもめった打ちにされたのだ。
「全体的にボールが高めに集まっていたような気がします。広島打線も配球パターンを読んでいたのか、ストレート、変化球のどちらにも対応できていました」(プロ野球解説者)
15日時点での情報だが、広島・新井貴浩監督は「足を絡めて」と、攻略法を語っていたそうだ。
しかし、同日に広島打線が記録した盗塁数は「1」。連続安打で得点したので、「配球パターンなどを分析して狙い打ちにした」と見るべきだろう。
「バウアーが受けたショックは、前回登板で負けた時(9日)よりも大きいと思います。味方捕手の出したサインにクビを振り、自分が選択した球種で打たれたんですから」(前出・同)
試合後の三浦大輔監督はバウアーのことを聞かれるなり、「う~ん…」と唸り、ちょっと考えてから、
「2試合続けて、しっかり捉えられていた。(要因は)何かあるのでしょう。コーチ、アナリストといろいろな角度から今後の対策を考えないと。7点は重かった」
とコメントした。
こういう時に出た「対策を考える」は、ファーム降格の意味も含んでいる。
「バウアーはバッテリーミーティングにもしっかり時間を掛けますし、データにもしっかり目を通しています。密度の濃い練習を毎日続けて…」(関係者)
また、登板日以外の練習も見たが、バウアーの左手には「Apple Watch」が装着されていた。血圧や脈拍数などもチェックし、筋トレの際には専用アプリも開いて、日々の数値を入力していた。
「三浦監督がもう一回様子を見ると決めたのなら、バウアーの次回登板は23日からの巨人3連戦のどこかになります。登板日を一回飛ばすとしたら、26日からの中日3連戦か、交流戦最初のカードの楽天戦」(前出・プロ野球解説者)
これで、チームは6連敗だ。3位・広島とのゲーム差も「0.5」まで縮まってしまった。
試合後の会見を終えたバウアーはさっそくスコアラーたちと合流し、映像チェックに入った。こんな声も囁かれていた。「もし二軍落ちなら、誰が通告するんだよ?」と--。プライドにも配慮しなければならないだろう。立ち直ってもらわなければ困る。(スポーツライター・飯山満)