「9回の走塁は行き過ぎではないか?」
フィル・ネビン監督も「大谷の走塁判断」に関する質問が出ることを予想していたのだろう。
「スコアリング・ポジションにいて、自分が(同点の)得点となろうとしている最中で、確かにあれはアグレッシブな動きだった」
そう答えた。すると、米メディアの質問を待たずにこう続けた。
「だが、(ガーディアンズ三塁手のホセ・)ラミレスが彼の左側のフィールドに動いている時、(三塁まで)行けると思ったのだろう。我々はまだ走者がいたので、いい当たりが出たら得点できると思ったが、あと一本が足りなかった」
敗因を伝え、同時に大谷とベンチの考えが一致していなかったことを答えてくれた。
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2点差となった9回最後の攻撃場面、一死二、三塁。打者テーラー・ウォードは三塁ゴロ、しかし、三塁走者が好ダッシュで本塁突入に成功したが、二塁走者だった大谷は欲張って(?)、三塁に進もうとし、タッチアウトとなってしまったのだ。次の打者ブランドン・ドゥルーリーがショートゴロに倒れてゲームセット…。
大谷の三塁を奪おうとした走塁判断に、賛否両論だ。
「大谷の三塁に向かおうとした判断は間違っていません。相手三塁手が冷静だった」
そうかばう声が圧倒的に多かったが、
「次のドゥルーリーは5番バッターですよ。味方打者を信頼し、リスクを冒すべきではなかった」
と、大谷の勝利に対する貪欲さが空回りしたと批判する声も出た。
現地入りしていた米国人ライターがこう言う。
「前日の同カードで逆転負けを喫したのも影響していると思います。『6対2』の大量リードで迎えた8回裏、一挙6点を失ってエンゼルスは敗れました。この逆転負けを喫した14日(日本時間)、大谷はスパイクのひもをピンク色に変えるなどしていたんですが」
「母の日」にちなんでの“オシャレ”である。大谷は14、15日ともに「試合後の会見」を辞退しているが、感謝の気持ちを表していたはずだ。
「16日(日本時間)は予定通り、大谷が先発すると聞いています。『予定』と言ったのは、大谷が右手中指の爪を痛めているとの情報が流れているからです。右手中指の爪を痛めているのは間違いのない情報ですが、詳しい状況は分かりません」(前出・同)
14日の試合前、ブルペン投球を行ったとの目撃談もある。
「投手・大谷」の懸念材料は、やはりキャッチャーだ。
前回登板ではマイナーから昇格したばかりのクリス・オーキーと“急造バッテリー”を組まされた。直近数試合のオーダー表を見てみると、エンゼルスはこのオーキーと、一塁手にコンバートさせたマット・タイスの2人を併用している。
オーキーは大谷のスプリットやスイーパーの捕球に苦戦していた。タイスは「配球難」でコンバートが決まった選手だ。大谷の「勝ちたい気持ち」が空回りしたとすれば、その原因はチーム内にある。(スポーツライター・飯山満)