この高市氏の騒動で思い出されるのが、今から7年前の2016年に、苦しい釈明を繰り返した末に東京都知事の辞職に追い込まれた舛添要一氏のケースだろう。
舛添氏は、前職の猪瀬直樹氏の辞職に伴う選挙で2014年に当選。16年5月に『週刊文春』(文藝春秋)を始めとする各メディアが、政治資金問題を追及し始める。その内容は公私混同とも取られかねない政治資金の使い方であり、小さな買い物の内容のセコさも話題となった。
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政治資金で購入した書籍の中には『クレヨンしんちゃん』が含まれていた。これには「児童の保護者から子どもが悪い言葉づかいをまねる」と相談を受け、どのような表現がなされているか確認するためと釈明したとされる。しかし、「クレヨンしんちゃん」の言葉づかいを確認するならば、マンガ本よりアニメ作品の方を確認すべきだろう。
さらに、シルクの中国服を購入していた件を記者会見で問われた舛添氏は「肩が引っかからずスムーズに書道ができる」ためと主張。記者から「袖がない服を着れば良いのでは」とツッコミを受けると、舛添氏は「気温が低い時もある」といった反論を行い、その様子が「大喜利状態」とも言われた。
また、ヤフーオークションを利用し、たびたび美術品を購入していた件には「昔の東京の姿を考える資料」などと苦しい釈明を繰り返した。美術品を政治家が「資料」と主張するのはやはり無理があるだろう。さらに、「勤務中にヤフオクに触ったことはない」といった言い訳もトンチンカンと話題になった。
このほか、2015年4月から2016年4月までほぼ毎週末、神奈川県湯河原町の別荘の行き来に公用車を使ったことも問題視された。同氏は「人工股関節を入れているので、自宅の風呂では足を伸ばせない」「湯河原の風呂は広いので足を伸ばせる」と釈明している。また、千葉県木更津市の温泉リゾートホテルに家族と宿泊し、政治資金を支出したことも批判の的となった。
舛添氏は、この年ブラジルのリオデジャネイロで行われた五輪の閉会式への出席の意思を見せ、その先の2020年の東京五輪へ向け続投したい意思を示していた。しかし、一層のバッシングの強まりと、都知事の不信任案可決も見込まれたため、6月15日に辞職願を提出し、21日付で都知事を辞職している。