4月30日のヤクルト戦を落とし、連勝は「3」でストップ。首位・DeNAとのゲーム差も「3」に広まったが、この試合は前日から“注目”を集めていた。岡田彰布監督は打撃不振の捕手、梅野隆太郎選手を「スタメンで使う」と予告していたからだ。
「一般的に、チームの状態が良い時は『メンバーを動かさない』もの。勝敗は結果論だとしても、岡田監督はあえてリスクを冒したわけです」(プロ野球解説者)
しかも、26日の巨人戦9イニング目から「無失点」が続いており、30日も完封勝利なら「球団初の4試合連続完封勝ち」の新記録が懸かっていた。3試合連続の「ゼロ行進」は坂本誠志郎捕手のスタメン起用から始まったと言っていい。
その坂本を外して、30日の試合に臨むと予告した岡田采配は、始まる前から「ナゼ?」と批判されていたのだ。
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「31イニング目の3回裏、ヤクルトに先制点を許しました」(在阪メディア)
「梅野のせい」とは言えない。阪神先発の才木浩人投手の調子もイマイチだった。
試合後、岡田監督は「梅野のスタメン起用の理由」を聞かれると、
「結局、ストライクがなあ…。そらな、ピッチャーによってだいぶ違うから。でもなあ、ストライクが来んかったらどうしようもないよな」と、才木の不調に置き換えた。
「梅野のリードが悪くて負けたわけではない」と言いたかったようだが、これで梅野がスタメン起用された試合は「5連敗」だ。
その点も質問されると、こう答えた。
「だから(甲子園に)帰ってなあ。ちょっと悪かったピッチャーが今度投げるから。どんだけな、前回のあれで調整してな、どんなピッチングするかやな」
「ちょっと悪かったピッチャー」とは、青柳晃洋と西勇輝のこと。青柳は直近2試合とも5回を持たずKOされており、西も前回26日の登板で3回5失点と振るわなかった。「巡り合わせ」が悪かったのか、たまたま調子を落としている投手とバッテリーを組んだせいもあると、かばったわけだ。
阪神OBが指揮官の胸中をこう代弁する。
「梅野に固執しているわけではないと思います。ペナントレースはまだこれからだし、梅野のような配球をする捕手も必要なので、早く立ち直ってもらいたいのでしょう」
関係者、プロ野球解説者の話を総合すると、梅野は「投手の一番良いボールをメインに配球を組み立てるタイプ」で、坂本は「対戦打者の苦手を突いてくる捕手」だという。捕手として甲乙を付けられないが、こんな見方もされている。
「ショートのスタメンは木浪聖也か、小幡竜平。両選手とも打撃ではなく、守備重視の選手です。森下翔太選手が打撃不振で降格して以来、『打撃』でアピールしてきた外野手がいません。坂本をスタメン捕手で使ったら、打撃で期待薄な選手がスタメンに3人もいることになります」(関係者)
もともと、梅野は打撃力が高い捕手だった。チャンスを与え続けた理由はこの辺にありそうだ。当の梅野だが、ぶら下がって来る記者団の質問に終始、無言。岡田監督は「5月は選手の入れ替えも」と語っていた。5月2日、甲子園に帰ってからの中日3連戦の結果次第では、“坂本メイン”に切り替わる可能性もある。(スポーツライター・飯山満)