Y.ロドリゲスはチームが20日のWBC準決勝・アメリカ戦に敗れた後キューバに一時帰国。29日に来日する予定となっていたが、その前日の28日にドミニカ共和国に入ったといい、今後は中日との契約を破棄しメジャー移籍を模索する見込みという。
ロドリゲスは昨季セ・リーグ最優秀中継ぎのタイトルを獲得している絶対的セットアッパーということもあって、ネット上には中日が不憫だとするコメントが数多く上がった。中でも、2年前に似たような目に遭っているソフトバンクのファンは特に同情の念を禁じえなかったようだ。
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ソフトバンクでは2021年6月、キューバ代表の一員として東京五輪の米大陸予選に参加していたアンディ・ロドリゲスが予選終了後に失踪、亡命するという事態が発生。当時の報道ではソフトバンク・三笠杉彦GMが困惑しながらも「契約解除する意向はない。戻ってきてもらいたい」と帰還を呼びかけたことなどが伝えられた。
ただ、そこからほとんど進展がないまま、11月1日にA.ロドリゲスは自由契約に。その後も詳しい動向が伝えられていなかった中、昨年7月にテキサス・レンジャーズと契約を結んだことが報じられた。
「結局A.ロドリゲスを連れ戻すことはできなかったソフトバンクですが、当時のA.ロドリゲスは将来が期待される有望株の一人で一軍の主力というわけではありませんでした。一方、今回のY.ロドリゲスは一軍ブルペンには欠かせない戦力でしたので、ダメージとしては中日の方が何倍も大きいことは想像に難くありません」(野球ライター)
多くのファンが驚き失望しているY.ロドリゲスの亡命騒動だが、一部の間では今後の国際大会にも水を差しかねないのではと懸念する声が上がっている。2年前のA.ロドリゲスと今回のY.ロドリゲスはどちらも、キューバ代表として国際大会に参加中に失踪・亡命している。そのため、キューバ選手を抱えるNPB球団は亡命のリスクを嫌い、国際大会への派遣を認めなくなるのではという見方もあるようだ。
今回のWBCのキューバ代表はY.ロドリゲスの他にライデル・マルティネス(中日)、アリエル・マルティネス(日本ハム)、リバン・モイネロ(ソフトバンク)といったNPB勢も名を連ねていた。日本にゆかりのある選手の活躍を楽しむのも国際大会の醍醐味の一つだが、場合によってはNPB勢を今後一切見られなくなる可能性もゼロではなさそうだ。
「WBCをはじめとした国際大会は日本やキューバ国外でも行われること、メジャーリーガーとの対戦機会も少なくなく結果が評価につながりやすいといった事情から亡命のリスクが高くなるとされています。また、今WBCのキューバは亡命選手の代表入りも認めていますが、Y.ロドリゲスはこうした選手から話を聞くことで感化された可能性も考えられるのでは」(同)
キューバ野球連盟が1000万ドル(約13億2500万円)の賠償金を要求する構えを見せているとも伝えられている今回の亡命騒動。今後どのような展開になっていくのかしばらく注目を集めそうだ。
文 / 柴田雅人