前日まで「4勝3敗」の碧山はこの日、初日から7連勝中の平幕・翠富士と対戦。立ち合い右のかち上げを繰り出し翠富士をのけぞらせると、間髪入れずに両手で顔面を4回ほど突っ張る。さらに、この後も叩きを交えながら、顔面へ10発近く突っ張りを見舞った。
ただ、機を見て顔面攻撃をいなした翠富士に左上手をつかまれ懐に潜り込まれると、土俵際で左上手を離しながら右方向に動いた翠富士の動きに対応できず、入れ替わるように土俵際へ追い込まれる。そこからも休まずに圧力をかけてきた翠富士を押し返せず土俵を割った。
>>大相撲、貴景勝戦前のヤジに場内ドン引き?「邪魔するなら帰れ!」一部客の行動に批判、取組にも影響か<<
立ち合いから猛攻を仕掛けたものの敗れた碧山だが、ネット上には「今日の碧山の相撲は結構荒かったな」、「かち上げから顔面突っ張り10発以上はちょっと過剰では?」、「翠富士怪我させる気かってぐらいのしつこさだった」、「突っ張り自体は真っ当な攻め方だが、首から上を執拗に狙うのはどうなのか」といった批判が寄せられた。
ファンのひんしゅくを買っている碧山だが、対戦相手の翠富士も内心やりにくさを感じていたことを明かしている。今回の勝利で幕内勝ち越し一番乗りを決めた翠富士は取組後にNHK中継のインタビューに登場。その冒頭に受けた「碧山関かち上げてきました。流れどうでしたか?」という質問に対し、「前やった時も結構突っ張られて、口の中切れたらすごい痛いので『やだなあ』って気持ちだったんですけど何とか勝てました」と苦笑い交じりに答えている。
碧山は身長191センチ・体重189キロの巨体を活かした威力のある突き押しが持ち味の力士だが、今場所は前日7日目まで勝ち越し1つと今ひとつ星を伸ばせておらず、対翠富士も過去1勝2敗と負け越していた。こうした事情もあり、立ち合いから厳しく圧力をかけようと考えたようだが、圧力のかけ方については不満を抱いたファンも少なからずいたようだ。
文 / 柴田雅人