前日まで「1勝0敗」の剣翔はこの日、こちらも「1勝0敗」の十両筆頭・東白龍と対戦。剣翔は立ち合いの攻防の中で右のど輪を繰り出し東白龍の上体を起こすと、そこから右を差し一気に前に出る。土俵際に追い込まれた東白龍は逆転の網打ちを仕掛けたが、剣翔は前のめりに倒れながら東白龍を土俵外へ寄り切った。
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剣翔の右斜め後ろ付近で攻防を見ていた行司は東白龍に軍配を上げたが、土俵下の審判団はすぐに物言いをつけ協議へ入る。40秒ほど話し合いを行った後、佐渡ヶ嶽審判長(元関脇・琴ノ若)は「行司の軍配は東白龍に上がりましたが、東白龍の足が先に出ており、行司軍配差し違えで剣翔の勝ちといたします」と、剣翔勝利に判定が変更された旨を場内に説明。勝ちから負けとなった東白龍は取組後の一礼を終えた後、一度首をかしげながら花道を下がった。
NHK中継では審判団の協議の間に取組のスロー映像が流されたが、映像では東白龍の右足が前に倒れた剣翔の左肘よりも早く地面につく様子が映っていた。ただ、東白龍の右足とほぼ同時に剣翔の左足つま先が返って地面についており、こちらについてはどちらが早かったのか映像ではっきり確認することはできなかった。
審判団は東白龍の足が先という判断を下したが、ネット上には「え? 明確に早かったとは言えなくないか?」、「この判定はおかしい、せめて取り直しだろ」、「リプレー映像では同時に地面についているようにしか見えないんだが」、「白黒つける判断を下したのは審判のミスでは」といった不満の声が寄せられた。
一方、この日中継解説を務めた九重親方(元大関・千代大海)は判定内容について特に疑問視せず。ただ、「(東白龍は)立ち合いからよくないですね。立ち合いちょっと左に半歩動いてから手数で(突いたが)、フェイントの突きなので、あれは前に押し込めないですよね。足も棒立ちですから、前に出る圧力が生まれない相撲の突きですよね」と、判定以前に東白龍の相撲がよくなかったと指摘している。
ファンの間で物議を醸す判定で勝利した剣翔は初日から2連勝で、2021年7月場所(8勝7敗)以来となる幕内での勝ち越しに一歩前進。一方、今場所勝ち越しなら来場所新入幕の可能性がある東白龍は、今場所初黒星で足踏みとなっている。
文 / 柴田雅人