中でも注目したいのが2位指名のスターター・吉野光樹の存在。優勝を狙う2023年は、昨年の躍進のポイントの一つであるブルペン陣の負担を軽減するためにも、先発陣の整備も重要となる。切れの良い最速150キロのストレートと鋭く落ちるフォークボールと、クレバーな投球術が武器の本格派右腕だ。
出身の熊本・九州学院高では、1学年上のベイスターズの伊勢大夢、1学年下の三冠王、スワローズの村上宗隆らと切磋琢磨した。上武大学から社会人の名門・トヨタ自動車に進むとOBで元ドラゴンズのエース・吉見一起氏の指導で飛躍し、ドラフト2位の高評価でプロ入りした。
昨年11月の社会人野球日本選手権ではコンディション不良で登板機会はなかったが「先輩の背中を見られたのは収穫でした」とポジティブな面もプロ向き。新人合同自主トレでのキャッチボールでも、重心やバランスを確認しながら一球一球丁寧に確認しながら投球するなど、さすがの意識の高さを感じさせた。
今シーズンのローテーション争いは、昨年の実績からともに11勝をマークした左右のエース・今永昇太と大貫晋一を中心に、中堅左腕の濱口遥大と石田健大が続く。昨年後半に存在感を示したロバート・ガゼルマン、春先は"マダックス”を達成した上茶谷大河、TJからの完全復活を期する東克樹と平良拳太郎、着々と成長している京山将弥、肘の不安払拭からの飛躍をめざす阪口皓亮、昨年は開幕ローテーションをつかんでいた坂本裕哉、中日からの新戦力笠原祥太郎らが5〜6番手を狙う構図と予想する。
その中でも右の新戦力で先発候補に挙がるのは吉野のみ。新しい風を吹き込ませ「チームの勝利に少しでも多く貢献できるように」の目標のため、沖縄で現有戦力に挑戦状をたたきつける。
取材・文・写真 / 萩原孝弘