球団公式サイトはこの日、「本日(11月15日)、中日ドラゴンズ 阿部寿樹選手と東北楽天ゴールデンイーグルス 涌井秀章投手のトレードが成立しましたのでお知らせいたします。」と発表。また、「7年間中日ドラゴンズでお世話になり、人間としても野球人としても成長させてもらいました。本当に感謝しかありません」といった阿部のコメントも掲載されている。
今季の阿部は前半戦は二塁、後半戦は三塁で主にスタメン起用され、打撃では「133試合・.270・9本・57打点」をマーク。本塁打・打点はともに主砲・ビシエド(14本・63打点)に次ぐチーム2位の数字だった。
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今回のトレード発表を受け、ネット上には驚きの声と共に「ただでさえ貧打に苦しんでるのに阿部放出は意味不明」、「ビシエドの次に打ってた打者をトレードってフロントは何考えてんだ」、「投手はテコ入れしなくても十分だろ…これじゃ来年も最下位確定だな」といった批判が寄せられた。
今季「66勝75敗2分」でリーグ最下位に沈んだ中日はチーム防御率(3.28)、先発防御率(3.46)、救援防御率(2.93)がいずれもリーグ2位と投手陣は奮闘した一方、打線はチーム打率(.247)がリーグ4位、得点数(414得点)、本塁打数(62本)が最下位と深刻な貧打にあえいでいる。今オフは打力底上げが急務という現状の中、なぜチーム屈指の好打者である阿部をトレード放出したのかと、首をかしげたファンも少なくないようだ。
「今回トレードされた阿部は主に二、三塁を守っている内野手ですが、今季後半はほぼ三塁で起用されていたこと、チームが今年のドラフトで二塁手を3名獲得したことを踏まえると、現在は三塁手として位置づけられていたものと思われます。ただ、現チームの三塁には高橋周平、石川昂弥と阿部の他にも有力な打者はいますので、フロントは阿部放出で打力が落ちるデメリットよりも、通算154勝と実績豊富な涌井の獲得で投手層が厚くなるメリットの方が大きいと判断したのでは。また、今オフの球団は立浪和義監督が直接ドミニカ視察(11月11~22日の予定)を行うなど新助っ人補強に力を入れていますが、こうした外部補強にめどが立ったことで阿部放出に至った可能性も考えられます」(野球ライター)
15日の報道では同日に取材に応じた楽天・石井一久監督兼GMが、中日側から持ちかけられたものと明かしたことも伝えられている今回のトレード。阿部放出の是非は今後どのような補強をするかにも左右されそうだ。
文 / 柴田雅人