過去にはこの武者修行をきっかけに大きな飛躍を遂げた選手も多く、両投手にも同様の変わり身が期待される。
2018年には今永昇太が参加し、無敵のピッチングを披露。これをきっかけに今シーズンは開幕投手に指名され勝利すると、一年通じてエースとして圧巻の活躍を見せた。現在はマリーンズに所属している国吉佑樹は約3カ月間フルに参加し、異国で様々な国のチームメイトと“ベースボール”を体感し「楽しむ」ことを再確認。10年目のブレイクにつなげることに成功した。
翌年には大貫晋一が「体力をつけることと、ウイニングショットの精度を高める」との目標を掲げ、スタミナとカットボールを会得。20年シーズンはルーキーイヤーの6勝から大幅アップの二桁勝利をマークするなどの活躍を見せた。また中継ぎ右腕の平田真吾も参加。得意のスライダーと対になるツーシームを自分のモノとし、今ではカウントも稼げ、決め球にもなる重要なボールとなっている。
2年目のシーズンは中継ぎとしてブレイクした入江大生は「一年間一軍でシーズンを戦い長所短所が明確になりました。ウインターリーグではその弱点をできるだけ減らすことを考えて日々課題に取り組んでいきたいと思います」と武者修行で一皮剥けた先輩たちの後を追いつつ「来季はどのポジションで登板しているか分かりませんが、さらに上をめざし、もっと後ろのイニングでの登板ができるように頑張ります!」と、今シーズン抑えの切り札として君臨した山崎康晃の去就次第では、クローザーの座を狙うためにもブラッシュアップをめざすとした。
30日も横須賀の球団施設「DOCK」で同期、同級生の牧秀悟ら主力とライブBPで対決し、武者修行に向けて順調な調整を続けている。
派遣された先輩たちもオフの時期に実戦を積めることは貴重で、異国の地での生活は人の幅を広げるチャンスと口にするウインターリーグへの参加。11月上旬から年内までの約2カ月、両右腕はどうブラッシュアップを果たすのかに注目だ。
取材・文・写真 / 萩原孝弘