報道によると、藤本監督は所用で本拠地・福岡PayPayドームを訪れた17日に取材に対応したが、その中で「本人は『(来年は)しない』と言っていたけど、説得します」と主将続投を渋っている柳田に説得を試みる意向を明かす。秋季練習初日の24日に予定される面談で打診を行うとした上で、「『うん』と言うまで監督室から出さないから。絶対に『無理です』って言うの分かっているから。そこを何とかね」と何としても続投させたい旨を口にしたという。
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主将はグラウンド上でのプレーはもちろん、グラウンド外の言動・練習姿勢でもチームを鼓舞・牽引する重要な役職。ただ、設置がルールで義務付けられているわけではないため、指揮官の意向次第で廃止されるケースもある。ソフトバンクも工藤公康前監督(現野球解説者)が全選手に主将並みの自覚・責任感を持たせることを理由に、2019年シーズンから主将制度を廃止していた。
藤本監督は新指揮官に就任した2021年11月、同年4位に沈んだチームをまとめ上げ牽引する存在が必要として、2022年シーズンからの主将制度の復活と、絶対的主砲・柳田の新主将就任を決断。当時の報道によると、柳田はそれまで主将とは無縁だったことから当初は難色を示したといい、翌12月の契約更改後会見でも「断れなかったです」と渋々主将就任を受け入れたことを明かしていた。
ただ、迎えた2022シーズン、柳田はグラウンド内外で主将の役割を全う。マジック1で迎えた今季最終戦の10月2日・ロッテ戦前には「3時間死ぬ気でやろう。駄目だったら全部俺のせいで、こんなん(キャプテンマーク)破り捨ててやる。俺のせいにしろ。死ぬ気でいくぞ」と同僚に檄を飛ばしたことも話題となった。
しかし、チームはこのロッテ戦を落としオリックスに今季のリーグ優勝をさらわれると、クライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージ(10月12~15日)でもオリックス相手に「1勝4敗」で敗退。この結果に責任を強く感じたのか、柳田はCS敗退が決まった15日の試合後に「力不足は感じた。そういう器じゃなかったかなと感じている」と自らを責めるコメントを残していた。
その柳田の続投を強く望む藤本監督に対し、ネット上には賛同の声が上がったが、それ以上に「本人がしないって言ってるならそれを尊重すべきでは?」、「意向を無視するのはダメ、下手したらパワハラになりかねないぞ」、「就任自体も渋ってたのに、さらに続投ってなったらモチベに関わりかねない」、「続投は考え直すべき、傍から見る限り相当ストレス抱えてそうだったし」といった否定的なコメントも見られた。
「これまでの野球人生で初となる主将の役割を懸命にこなした柳田ですが、慣れない立場でチームを引っ張ることによる重圧・ストレスは大きかったのか、今季は2012年以来10年ぶりに打率.280を割るなどらしくない成績に。また、柳田はプレー中の表情が豊かなことで知られていますが、今季はネット上のファンの間から表情が険しい、暗いという心配の声も少なからず上がっていました」(野球ライター)
「選手がみんな柳田を慕っているからね。ひと言言ったらみんなが『ワーッ』となる」と、一言でチームがまとまるほど人望が厚いことを理由に柳田にこだわっているという藤本監督。少なからず弊害もあった主将の立場を、柳田が来年も務めることは果たしてあるのだろうか。
文 / 柴田雅人