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3年ぶり3日間にわたる催しでメインを飾るのは、村上が「20世紀日本が生んだ最大のポップアイコン」と称する「ドラえもん」の巨大バルーン。ドラえもんの特製コスチュームで登場した村上が「株価も昨日あたりからめちゃくちゃ下がって、不穏な空気の昨今ですけど、なんとなく元気にやっていければ」と挨拶すると、会場からさかんな拍手が送られた。
トークイベントで、村上は「パンデミックに入って、アートがちょっとしたブームになっています。60歳以下の人たちは文化の重要な部分に漫画があることはわかっているはずですが、一部の人々には西洋美術のルールの中にあるアートの方が高尚という考えがまかり通っています。僕が若かった頃もそれが強かった」と、従来のアートのあり方を振り返った。
六本木ヒルズアリーナ、国立新美術館を始めとする会場には、村上のほか、細川雄太、くらやえみ、ob、村⽥森、⻘島千穂、T9G&ナカザワショーコ、Mr.、⼤⾕⼯作室、TENGAone、KasingLung、タカノ綾ら気鋭のアーティストが制作したドラえもんを展示。村上は「ここにいるのは、一人ひとり集めてきた仲間たち。一番わかりやすいアイコンとアーティストがコラボレーションすることで、関心がない人にも漫画が世界に冠たる芸術であるとわかってもらえるように」と制作意図を説明した。
さらに、「藤子・F・不二雄先生や手塚治虫先生もそうですし、今活躍している漫画家の原稿は、100年後、200年後にレオナルド・ダ・ヴィンチと同じくらいの価値を持つもの。芸術は未来につながっていくもので、20代前半やもっと下の世代にスーパーフラットの文化が広がっていけば」と展望を語った。
六本木という街を舞台にしたアートフェスでは、昨年12月に逝去したコンセプチュアル・アートの巨匠ローレンス・ウィナーを始め、キムスージャ、マイケル・リン、増田セバスチャンら総勢70組のアーティストが参加。イブペインティングやインスタレーションも開催。
(取材・文:石河コウヘイ)