そして先日、NASAは火星探査機パーサヴィアランスに搭載されている実験装置が、火星で酸素の生成に成功したとプレスリリースで発表した。パーサヴィアランスには火星酸素原位置資源利用実験(MOXIE)という、火星の大気中にある二酸化炭素を酸素に変換する小さな立方体状の装置が搭載されている。
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昨年、NASAの研究者たちはこの装置を日中や夜間、火星での季節に合わせた様々な大気条件のもとで7回テストを実施。その結果、どんな状況下であっても1時間に約6グラムの酸素を作り出すことに成功したという。この酸素量は地球上の小さな木が二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すのとほぼ同じ量であり、一人の宇宙飛行士が10分間呼吸する量に相当するという。
MOXIEの研究を率いるMITのジェフリー・ホフマン氏は、「これは、他の惑星の表面にある資源を実際に使用し、それを人間のミッションに役立つように化学的に変換した最初のデモンストレーションであり、歴史的快挙です」と驚いている。今回の概念実証が達成されたことで、NASAは最終的にこの装置のもっと大きなバージョンを火星に送り込み、近い将来に計画されている有人探査に備え、火星で着実に酸素を作り出せるようにすることを想定している。MOXIEを運用しているチームは、それまでこの装置の限界を確認するために厳しいテストを行うつもりと語っている。
チームメンバーのマイケル・ヘクト氏は、「次の運転は、火星の1年のうちで最も二酸化炭素の密度が高くなる時期に行う予定です。そして、できるだけ多くの酸素を作りたいのです」と述べる。また、今後の予定として火星の夜明けと夕暮れ時にもMOXIEを作動させることを考えているとのこと。この時間帯の気温は特に不安定なので、まだ取り組まれていない時間帯の一つだという。
ヘクト氏は、この不安定な時間帯でも酸素生成量の目標を達成するための最良の方法について考えがあることを示し、「研究室で試験を重ねれば、いつでも本当に運転できることを示す最後のマイルストーンに到達することができます」と述べている。朝夕の酸素生成実験は今後9回実施される予定。現地の惑星の大気から生命維持に必要な酸素を抽出、生成する技術が確立されれば、いずれ人類の惑星進出や宇宙進出も見えてくるのかもしれない。
山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
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