エース級の顔触れが並ぶ中、千葉ロッテの石川歩も開幕から高いクオリティを見せ続けている一人だ。
6月7日、ホームで行われた中日戦で、今季11度目の先発マウンドに立ち今季5勝目を上げている。6回1/3を投げ計11安打を許すも2失点に止め、ベテランらしいしぶとい投球でドラゴンズ打線に大量点を許さなかった。
この日の登板を終え、防御率は1.81と開幕からの好調を維持、さらにリーグ2位タイ(7日終了時点、以下同)の5個の白星は、すでに昨年の勝利数(6勝)に迫っている。
2回にはノーアウト満塁のピンチも招くなど、今季では珍しく不安定な場面も多かったこの日、目立ったのは、打者を打たせて取るシーンが多かったことだ。2回のピンチも併殺で切り抜けており、ランナーを出しながらも内野ゴロやフライアウトに打ち取っている。一方で、この日の奪三振はゼロと、アウトは全て打たせて取ったものとなった。
今シーズン、「奪三振の少なさ」は石川の大きな特徴だ。これまで11度の先発マウンドの中での奪三振数30個は、パ・リーグ規定投球回到達者の中で最も少ない数字。リーグ屈指の防御率を記録するなど近年にない好調ぶりは、無理に三振を狙わずに打たせてアウトを獲る投球術に磨きをかけた結果でもあるだろう。
また、コンビを組む捕手・松川虎生も今季のピッチングを支える存在だ。自身三度目となる開幕投手に抜擢された3月25日の東北楽天とのオ-プニングゲームで、マスクを被ったのは松川。ルーキーのデビュー戦でバッテリーを組み、7回4安打無失点で見事な勝利を収めたことで、その後も女房役として起用されている。34歳のベテランも、新人のサインに首を振ることなく投げ込んでいる姿からは、互いの信頼関係の強さが感じられる。
ロッテでは「令和の怪物」佐々木朗希の飛躍もあり、チーム全体で若手の台頭が著しい。その中でも、円熟味を増した背番号12の姿はより頼もしさを感じる。さらに進化を遂げるベテラン・石川歩のピッチングに今後も注目だ。(佐藤文孝)