当時まだ珍しかったテープレコーダーが、事件解決に大きく寄与した少年犯罪がある。事件は昭和37(1962)年に三重県で発生した。
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三重県のとある市で、当時76歳の女性が自宅で首を絞められ死亡しているのが見つかった。
警察は、行方が分からなくなっている女性の孫が怪しいとして捜査を進めた。その一方、女性の遺体が見つかった居間には当時まだ珍しかったテープレコーダーがあった。警察が押収し再生すると、テープには年老いた女性と若い男性が激しく言い争いをしている音声がおよそ7分にわたり録音されていた。
録音された内容から、孫に当たる高校生が祖母の首を絞めて殺害した時の音声であることは明らかだった。
その後、逃亡していた高校生が捕まり、問いただしたところ、やはり老女を殺したのはこの高校生で間違いなかった。押収されたテープレコーダーが動かぬ証拠となったようだ。
どうして、高校生は自分の祖母を殺害する瞬間を録音していたのか。実はこの高校生は大の無線マニアで、自分で設計したラジオを当時高額だったテープレコーダーで録音することを楽しみにしていた。
だが、受験を控えていた身であったため、毎日のように無線機器で遊ぶ孫を心配した祖母が注意したところ、言い争いに発展。そのときちょうど、テープレコーダーでラジオの音楽番組を録音していたため、殺害の瞬間も偶然録音されたというわけだ。
まだ珍しかったテープレコーダーで殺人の瞬間が録音されたこの事件は、当時の新聞をにぎわすことになった。