阪神・佐藤輝明選手がNPBの野手ワースト記録となる54打席連続無安打をカウントした9月29日(日本時間、以下同)、エンゼルスの大谷翔平選手も不名誉な連続記録を作ってしまった。
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敵地で迎えたレンジャーズ3連戦の初戦、大谷は「2番・DH」で出場したが、3打数ノーヒット。実は、このグローブライフ・フィールドは“鬼門”なのだ。
「本塁打王争いでチャージをかけるなら、このレンジャーズ3連戦しかないと見られていました。理由は簡単です。優勝争いや、ワイルドカードでのポストシーズンマッチへの進出可能なチームとの対戦になると、大谷とはまともに勝負してくれません。でも、レンジャーズはエンゼルス同様、優勝争いから完全に脱落してしまったので」(米国人ライター)
しかし、快音ナシ。米メディアも「通算53打席本塁打ナシ、同打率1割7分2厘」と、同球場との相性の悪さを伝えていた。
同球場は昨年オープンした広いスタジアムだが、ホームランの出にくい球場ではない。それでも、大谷がチャージをかけられなかった理由だが、
「対戦投手のデータが少なすぎたからではないか?」
とも言われている。
まず、レンジャーズ先発投手のAJアレクシーだが、1か月ほど前にメジャー昇格を果たしたばかりのニューフェイスである。
「今季開幕戦は2Aで迎えました。8月に3Aに昇格し、その勢いで同31日にメジャー初登板を果たしました」(前出・同)
そのデビュー戦で初勝利を挙げ、2戦目の登板が9月7日のエンゼルス戦だった。AJアレクシーに対するデータは「無い」に等しく、手探り状態で打席に立ったせいか、大谷は2三振を喫している。
「29日、そのAJアレクシーをリリーフしたコルビー・アラードも『これからのピッチャー』です。将来は先発投手として育てると聞いていますが、今は経験を積ませるため、リリーフをやっています」(前出・同)
レンジャーズは世代交代の過渡期にある。つまり、優勝争いをしているチームなら出場していない“発展途上の投手”との対戦になったわけだ。
ハッキリ言って、経験値の少ないピッチャーは球筋も荒く、投げるのにも必死だ。優勝争いをしているチームによる四球攻めとは異なる“打ちにくさ”を、大谷は感じていたのではないだろうか。
「結果を出そうとしているピッチャーは、ビッグネームが相手になると、ヘンに力が入るんです」(プロ野球解説者)
ビッグネーム、ベテランを抑えれば、自身の一軍昇格が近づくと捉えるからだ。実績の少ない若手にはそういう傾向も多く見られるという。
29日の試合後、「今季の投手起用はもう無い」との一報も飛び込んできた。もし本当なら、2ケタ勝利&2ケタ本塁打の快挙は来年に持ち越しとなる。無名投手たちの必死さが、本塁打王争いにも水を差しつつある。(スポーツライター・飯山満)