スターティングメンバーを入れ換える采配が的中したわけだから、与田監督がご機嫌なのは当然だ。
しかし、そのベンチ裏では様々な事情が絡み合っていた。
「堂上の活躍を喜んでいた地元関係者もたくさんいました。同時に、『京田(陽太)はどうなるんだ?』と…」(地元メディア)
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プロ15年目のベテラン・堂上が一軍昇格を果たしたのは、5月28日。正遊撃手の京田が打撃不振に苦しんでいて、それと入れ代わる形で一軍に呼ばれた。
とは言え、先日までの堂上は代打や守備要員での途中出場ばかり。京田に代わって「スタメン遊撃手」を務めたのは、三ツ俣大樹選手だった。
「堂上は攻守ともに好調。だから昇格のチャンを掴んだんです。二軍から昇格した選手はすぐに使われることが多いんですが」(前出・同)
選手を起用する最終判断は、監督が下す。それにケチをつけても仕方ないが、京田不在の間、「遊撃・三ツ俣」が続くと、こんな声も聞かれた。「根尾(昂)にもチャンスを与えても良いのでは?」と。
「今さらではありますが、堂上は地元愛知出身、ドラフト1位指名され、大きな期待を寄せられていました。いつの間にか、『どこでも守れる便利屋』のようになってしまい、同じく地元岐阜出身の根尾も、飛躍のチャンスを掴めなければと心配する声がたくさん出ています」(ベテラン記者)
3日の千葉ロッテ戦で堂上がスタメンのチャンスを掴んだ理由だが、「複数のコーチが、堂上の調子が良いと推薦した」(関係者)とのこと。そのコーチが誰なのかは教えてくれなかったが、推薦のあった経緯は与田監督も認めている。
「与田監督を支えなければならないのは、伊東勤ヘッドコーチ。与田監督は伊東ヘッドと距離を置こうとしているというか…」(球界関係者)
首脳陣の不協和音は複数の関係者、取材陣が懸念していた。試合後はご満悦の表情を見せていたが、内心は違ったのかもしれない。
「京田がこのままトレード放出されてしまうのではないかとの声もないわけではありません」(前出・地元メディア)
中日はトレードに積極的なチームではない。しかし、日本ハム・中田翔、広島・會澤翼など実績十分なベテランが不振で二軍調整を続けており、京田の二軍降格が「キナ臭い」と思われているのだ。
こうした噂が絶えないのは、上昇機運を掴み切れない状況が続いているからで、何かきっかけがあれば、優勝争いに食い込めるとファンも見ているからだろう。
チーム防御率2・85は12球団トップ、しかし、平均得点2・83は12球団でワースト。地元出身の堂上、根尾が起爆剤になれば、一番良いのだが…。(スポーツライター・飯山満)