開幕戦まで、あと3日。3月26日のプロ野球開幕戦に向け、セ・パ両リーグの順位予想も盛んになってきた。セ・リーグは原巨人の3連覇を予想するプロ野球解説者も少なくなかったが、それを阻止する有力チームとして阪神タイガースを挙げるプロ野球解説者も多かった。その阪神の“弱点”が露呈された。
「矢野燿大監督は今季もキャッチャーの『併用制』で臨むつもり。先発投手との相性、対戦チーム別の打撃成績なども考えて、捕手を固定させたくないようなんだけど、最近では詳しく聞き直そうとすると、イヤそうな顔を返してきます。捕手併用制が勝利に結びつかなかったので」(球界関係者)
しかし、今季も矢野監督は捕手併用制で臨むという。その影響だろう。正捕手の梅野隆太郎がフリーエージェント権(以下=FA権)を行使し、新天地を求めるのではないかとの情報も交錯している。
「昨年オフの契約更改後、そういう見方がされるようになりました」(在阪記者)
順調に行けば、梅野は今季中にFA権を取得する。昨年12月の契約更改では「3年連続ゴールデングラブ賞」に輝いたことも評価され、昇給を勝ち取ったものの、「必要とされる評価をもらえるよう、この球団(阪神)も含めて、いろいろなところで考えていきたい」と、ビミョ~なコメントを残している。
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どうなるかはシーズンが終わるまで誰も分からない。そんな梅野の去就に関する話が再び騒がれ出した理由だが、オープン戦最終戦の3月21日、矢野監督は試合途中で捕手を梅野から坂本誠志郎に代えている。
ペナントレース本番に備えた調整の一環かもしれないが、梅野のめざす捕手像とは異なるようだ。
「梅野の目標は143試合フル出場です。矢野監督の併用案と異なります。試合に出たいという意識の強い選手なので」(前出・同)
梅野は西勇輝投手と息の合ったところを見せてきた。また、一部メディアの取材では、長く不振に苦しむ藤浪晋太郎投手のことにも触れ、「なんとかしてやりたい」と語っていた。配球を変え、長所を引き立たせてやりたいという、捕手としての思いやりだろう。
「梅野はスタメンを外される度に、色々な人から『どうして?』と質問されています。そういう野球環境に嫌気が差しているのかも」(前出・球界関係者)
併用制が詳しく説明されないため、当事者に質問が集中してしまうのだ。
「開幕投手が予定されている藤浪が右手親指を怪我しており、リリーバーの岩貞、岩崎の調整が遅れているとの情報もあります。乱打戦が予想されるので、開幕戦からしばらくの間は、『打てる捕手』の梅野で捕手を固定した方がいい」(前出・在阪記者)
昨季は開幕3連戦でスタメン捕手を全て代えて、連敗しているが…。
坂本、榮枝など控え捕手陣も守備レベルは高い。捕手を代えることで配球もガラリと変わり、味方投手の新たな一面が引き出される時もある。また、捕手が“固定”されることで、投手陣全体に安心感を与えるケースも多い。
どの選手を起用するのか、その最終権限は指揮官にある。今年も「捕手併用」で臨むようだが、矢野監督はその理由をきちんと説明するべきだろう。(スポーツライター・飯山満)