<今年は、二刀流で健康を維持できることを証明するためのラストチャンスになるだろう>
この衝撃的な記事は日本の一部メディアでも取り上げられた。
しかし、大谷の古巣・日本ハムの関係者たちは少し違った視点で捉えていた。
「大谷が二刀流のまま、現役生活を全うするとは考えていませんでした。いつか、投手をやめて、打者に専念する日が来ると見てました」(球界関係者)
「投手か、野手のどちらかに絞らなければ」という言い方をする関係者も何人かいた。いずれにせよ、投手、野手の両方ができるのは、20代の限られた期間だけと見ていたようだ。
「投手で登板し、中1日休んで野手として3試合出て、また1日空けて投手登板…。体力自慢のアスリートだって、こんなシーズンを過ごしていたら、選手寿命を縮めてしまいます」(前出・同)
体力面での懸念が、二刀流にタイムリミットがあると思わせていたようだ。
今回、MLB公式ページが「ラストチャンス」という表現をした背景だが、こんな指摘も聞かれた。
「メジャーリーグでは通常、先発投手は5人。6人制でペナントレースを戦っているのは、マリナーズとエンゼルスです。マリナーズはゼネラルマネージャーの強い持論によるものですが、それに賛同する他球団のスタッフはほとんどいません。でも、エンゼルスはちょっと事情が異なるんです。『投手・大谷』の登板間隔が他先発投手と異なるため、6人目が必要になったんです」(米国人ライター)
20年シーズンのように、ペナントレースが始まってから「投手・大谷」が離脱すると、他の先発投手は登板間隔を整え直さなければならない。5人制で回すのなら、中4日。6人で回すとなれば、中5日か、移動日の関係で6日の間隔を空けなければならない。6人制を前提にキャンプ、オープン戦で調整してきた他投手に戸惑いが生じ、本領を発揮できない。それは、チーム全体にとってもマイナスでしかない。
「19-20年オフが特にそうでしたが、大谷の二刀流復活を前提にした戦力補強がされました。彼が『打者』で出場する時は指名打者、『投手』で出場する時は他の選手を指名打者で起用しなければなりません。『打者・大谷』がいない時のみの出場となると、オファーを受けた選手は、他にもっと出場機会の多いチームから誘われていたら、エンゼルス入りに魅力を感じないでしょう」(前出・同)
二刀流は「大谷の才能」「魅力」だが、チームの協力があって成立するものなのかもしれない。
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MLB公式ページが「ラストチャンス」とまで言ったのは、エンゼルスのチーム低迷も影響してのこと。投打ともに不本意な成績で終わった大谷の才能を惜しみ、「どちらか一本でも」という期待も込められていたのだろう。
エンゼルス首脳陣がオンライン会見で語った限りでは、21年に「投手・大谷」が復活するそうだ。投打ともに大活躍し、コロナ禍のモヤモヤを吹っ飛ばしてもらいたいものだ。(スポーツライター・飯山満)