「マドン監督を始め、エンゼルスの首脳陣はスランプ脱出のきっかけを掴んだと判断しています」(現地メディア)
ちょっと、気が早すぎるのでは? 前日まで20打席連続ノーヒットであり、ここまで苦しんだのは日本ハム時代にもなかったこと。22打席ぶりに出たヒットが特大アーチという、インパクトの強さがそう言わせたのだろうか。「開幕序盤の右肘故障が、バットにも影響しているのでは?」の懸念も聞かれただけに、慎重に見守るべきだと思うのだが…。
「いえ、久々に出たヒットがライナー性の打球か、野手の間を抜くゴロヒットだったら、エンゼルス首脳陣は『スランプ脱出』を口にしなかったでしょう。打球が上がったから、喜んだんですよ」(前出・同)
>>エンゼルス・大谷が故障禍から抜け出せないワケ 高校時代から続く苦労、今季中の復帰登板も絶望か<<
メジャーリーグ中継の日本視聴者も気が付いていると思うが、今季の大谷は2種類の打撃フォームを使い分けている。必要に迫られて変えているといった方が的確かもしれないが、右足の踵を上げる時と、上げないで摺り足でタイミングを取るフォームが見られる。興味深いのは、前者の方だ。
「打者・大谷」は、昨季も不振の時期があった。それは、5月。つまり、開幕して1か月が過ぎたころ、ゴロアウトが目立つようになった。今回の不振も「開幕から1か月後」だから、大谷にはそういう傾向があるのかもしれない。
「大谷に限らず、長距離タイプのバッターは、基本的に『ボールのやや下』を打ちます。ゴロアウトが多いということは、スイングスピードが遅れたか、タイミングが合わなくて、ボールを上から叩いているんです」(プロ野球解説者)
ボールの下を振り抜くと、打球が上がる。マドン監督がスランプ脱出と判断したのは、大谷の久々のヒットが大きな放物線を描くホームランだったからだ。
「ボールのやや下」を振り抜くには、鋭いバットスピードが必要となる。スイングに勢いを加えるため、大谷は本来の打撃フォームとは異なる打ち方をしていたのだ。それが、右足の踵を少し挙げる打ち方だ。
「同日の第3打席は四球。第4打席は右安打で出塁、第5打席は一塁ゴロでした。摺り足に戻す時もありましたが、後は、微調整をすれば全快となるでしょう」(前出・プロ野球解説者)
関係者によれば、大谷は右足を完全に挙げる“一本足打法”で素振りをする時もあるという。
「一時期、試合でも一本足打法を使うのではないかと言われていました」(前出・米国人ライター)
オールドファンの間では、一本足打法と言えば、王貞治氏の代名詞だ。大谷がそれを模倣したら、衝撃的なシーンになったはず。本来ならば、大谷は右足の踵を挙げない摺り足打法を使う。足を上げる、上げないによって生じるビミョ~なタイミングの差が、ホームランか、ゴロアウトの分かれ目となる。好調と不調は紙一重の違い。打者・大谷は“爆発寸前”と見ていい。(スポーツライター・飯山満)