今さらだが、今季の大谷は投打ともに良いところがない。そして、敵地球場のペトコ・パークのセンターバックスクリーンに映し出された両チームのラインナップを見て、「優勝戦線から脱落する悔しさ」を再認識したのではないだろうか。
「ペナントレースが開幕した当初と比べると、エンゼルスはチームの雰囲気がガラリと変わりました」
現地入りした米国人ライターの感想だ。
まず、遊撃手のアンドレルトン・シモンズの名前が消えた。シモンズはメジャー屈指の遊撃手で、昨季は故障で2度も戦線を離脱したのにゴールデングラブ賞の最終候補にも残ったほどだ。そのシモンズが「や~めた」と、ひと足先に自ら今季の終了を宣言したのだ。
「ペナントレースはまだ数試合残っていますが、チームに優勝の可能性がなくなったことで、今季はもう試合に出ない、と。彼の代理人事務所によれば、新型コロナウイルスの感染防止を兼ね、今季は試合に出ないことを決めたそうです」(前出・同)
球団もそれを認めたという。“職場放棄”する側と“容認”する側、ともに日本では考えられない発想である。
また、シモンズはエンゼルスと6年契約を交わしているが、今季がその最終年でもある。「優勝を狙えるチームへの移籍を考えており、途中リタイアはその準備も兼ねている」との予想も聞かれた。
「8月末に、中軸打者であるグッドウィン外野手、米球宴にも選ばれたカストロ捕手を相次いでトレード放出しています。この時点で、ファンは『エンゼルスは優勝争いを諦めた』と解釈しました」(前出・同)
いなくなったのは、シモンズで3人目というわけだ。
「エンゼルスは昨年オフの補強も成功し、優勝の可能性も高いと目されていました。投打ともに大谷の復活をアテにしていたので、チーム低迷の原因は大谷にもあります」(前出・同)
打撃不振と言えば、レイズの筒香嘉智も同様だ。しかし、チームは地区優勝を決めており、「ポストシーズン・マッチで巻き返しを」とモチベーションは失っていない。その点では、大谷は「良いところナシ」の一年となってしまった。
優勝、ポストシーズン・マッチ進出の可能性が消えると、チームは一変する。こうした寂しい光景と屈辱が大谷の糧となれば良いのだが…。(スポーツライター・飯山満)