米球界挑戦も視野に入れていたロベルト・スアレス投手の残留は決定的となった。米メディアによれば、「2年675万ドル(7億200万円)で合意した」とあり、阪神側もそれを否定していない。今季のセーブ王の残留は間違いなく、プラスだ。
しかし、“定員オーバー”でペナントレース途中、「手の打ちようがない」なんてことにならなければいいのだが…。
「今季終盤、千葉ロッテで投げたチェン・ウェイン、韓国の20勝右腕、ラウル・アルカンタラの2投手も新たに獲得しました。サンズは残留、韓国で本塁打、打点の二冠王となったメル・ロハス・ジュニアも獲りました。マルテ、エドワーズ、ガンケルも残留の方向で交渉を続けています」(在阪記者)
マルテたち3人も残留すれば、来季は「外国人選手の8人態勢」で臨むことになる。
新型コロナウイルスの特例措置は、来季も継続される。一軍登録できる外国人選手の人数は5人に拡大されたままだが、試合登録できるのも4人のまま。つまり、阪神は“4人の余剰人員”を作ってしまったわけだ。
「先発のチェン、アルカンタラが投げたら、その翌日に一軍登録から外し、4人の試合登録枠を他の外国人選手で使い分けていくと思います」(前出・同)
クローザーのスアレス、スタメンが予定されているサンズ、ロハスの3人はシーズンを通して登録されるだろう。ここに、先発で起用するチェンとアルカンタラを加えて、5人。マルテたちは残留が決まっても、出場機会は限られてくる。
「いや、チーム全体のことも考えないと…。マルテたちが残留したら、支配下登録は69人。こちらは70人までだから、シーズン途中で主力選手が故障することになったら、定員オーバーでトレードができないかも。キャンプ、オープン戦で育成枠の選手を支配下登録することになったら、シーズン途中での補強はできなくなる」(プロ野球解説者)
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外国人選手が活躍すれば、原巨人追撃の一番手となる。だが、試合登録などが助っ人優先となれば、若手のヤル気にも影響してくる。こんな情報も交錯している。
「ロハスはスロースターターの傾向があります。序盤戦は打てなくても使っていくつもり。矢野燿大監督はレフトでのスタメンを予定していて、サンズが一塁に入りそう。三塁は大山で、ドライチの佐藤輝明はライトで使っていきます」(球界関係者)
センターは近本光司だろう。矢野監督はポジションこそ言わなかったが、「1番・近本」の打線構想を関西系のメディアも口にしている。若手だけでなく、高山、江越、中谷らの中堅クラスの出場機会も激減しそうだ。
先の関係者によれば、「2003年の再来」なる言葉も聞こえてくるという。
同年のVチームは阪神だった。しかし、02-03年オフ、宿敵・巨人は主砲・松井秀喜をメジャー流出させている。阪神側は今オフの菅野流出を重ねて見ているそうだ。03年の再来か、外国人選手をアテにしすぎて、痛い目に見たチームは過去にたくさんあったが…。(スポーツライター・飯山満)