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来季の阪神はブルペン陣の崩壊不可避? 関西球団の明暗分けるか、能見放出で失った“トラの財産”とは

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 元阪神・能見篤史投手のオリックス入りが決定した(12月8日)。16年間のプロ生活で培われた“トラの財産”も同時に流出したと言っていい。

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 まもなく午後1時になろうとしていたころだった。オリックスの球団施設がある大阪市・舞洲に自家用車で現れた。待ち構えていたマスコミを一瞥し、そのまま施設内へ。1時間以上が経過した後、“猛牛軍団の能見”が正式に誕生した。「将来の指導者候補」「若手の手本」なる話はすでに出ていたが、いきなり、「兼任投手コーチ」となるという。異例の待遇ではあるが、「コーチ・能見」の高評判は以前から聞かれていた。オリックスが「投手・能見」を正しく判断したとも言えそうだ。

 「2013年のWBC後、各球団で『能見ブーム』が起きたんです。日本代表に選ばれた能見も、普段は会話のできない他球団の投手たちと談笑をしていました。その時、各投手が持ち球の変化球の握り方を教え合って…」(球界関係者)

 他球団の投手がもっとも興味を示したのは、能見のフォークボールの握り方だったという。大多数の投手が白い革部分を人差し指と中指で挟んでいたのに対し、能見は一方の指を縫い目に掛けていた。そうすると、ボールが落ちる時にも若干の変化が生まれ、揺れながら落ちるイメージになるという。

 他球団投手は“能見式フォークボール”を持ち帰り、ちょっとした流行になったそうだ。

 「本人も言っていましたが、口数の多い方ではありません。聞かれたら答えるみたいな。でも、説明の仕方が上手で、惜しみなく色々なことを教えてくれます」(前出・同)

 ペナントレースに突入すれば、侍ジャパンの仲間たちもライバルとなる。それでも、「結果で勝負しよう」という姿勢になれるのは、能見の人柄だろう。

 阪神情報に詳しいプロ野球解説者の一人がこう続ける。

 「若い捕手の教育係も矢野燿大監督から任されていました。先発とリリーバーのコンディション作りの違いについても、明確に説明できます。近年、阪神の救援陣が好成績を残しているのは藤川球児、能見というお手本がいて、彼らのアドバイスもあってのこと」

 こうしたベテランの話を聞いていると、投球に関する知識がオリックスに流れていくのは必至だ。

 また同日、オリックスは来季から正式に一軍指揮を執る中嶋聡監督のコーチ陣営も発表している。中嶋監督の要望らしく、コーチはあえて一軍と二軍の区分をしない異例の体制となった。ペナントレースに入れば、一軍帯同と二軍担当に別れるが、状況によってはコーチを入れ換えることもありそうだ。

 「能見は主にリリーフで使っていくとのことです。そうなると、兼任コーチの能見がブルペン管理を任されるのもありそう」(前出・関係者)

 救援投手陣のテコ入れがオリックスの強化ポイントだった。リリーバー、ブルペン管理。来季は多忙となりそうだが、「将来の指導者候補」を次々と切り捨てていく阪神は本当に大丈夫なのだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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