この田嶋の保留は、他球団にも影響しそうだ。
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「チームは2年連続の最下位。新型コロナウイルス禍で試合数も減り、厳しい査定になるのも分かりますが、オリックスだけはそうならないとの見方もされていました」(ベテラン記者)
昨年のちょうど今頃のことだ。12球団は契約更改を行っていたのだが、どの球団でも聞かれたのは「オリックスが羨ましい」の声。理由は、簡単だ。チームは最下位に沈んだというのに、ほとんどの選手がアップ提示となり、メジャー通算282本塁打の大物、アダム・ジョーンズ外野手の獲得など“リッチな話”ばかりが聞こえていたからだ。
「お隣の阪神は、とくにボヤいていましたよ。オリックスのどの選手が昇給したという話が入ってくる度に驚いて、『オレたちは3位なのに、減給』とボヤいていました」(在阪記者)
オリックスの契約保留者は、田嶋で2人目。12月3日に中継ぎの澤田圭佑投手もダウン提示を受けて保留した。「野球協約が定める減額制限に近いダウン提示」(関係者)だったらしいが、澤田は9月に故障離脱している。「かわいそうだけど、仕方ない」の声も聞かれた。しかし、田嶋は違う。山岡泰輔、山本由伸の二枚看板が故障でチームを離れても、唯一、ローテーションを守り抜いた。先発投手の中で“故障ナシ”は、田嶋だけである。
「オリックスは成績を上げた選手には、しっかりと昇給させるチーム」(プロ野球解説者)
田嶋が保留したのは、その上がり幅が納得できなかったからであり、「好成績=昇給確実」というこれまでのチームカラーとも異なってくる。
「大盤振る舞いだった昨年の更改で、田嶋は数少ない減給組でした。17年ドラフト1位のメンツもあるのでは」(前出・プロ野球解説者)
山岡は田嶋の1年前のドライチ、山本は山岡と同じ16年ドラフト組だが、4位。プロ野球の世界では年齢ではなく、入団した年度で先輩・後輩が決まる。山岡に対しては同じドライチとしてのライバル心があり、“先輩”だが、年下で下位指名ながらもすでに侍ジャパン入りした山本にも「負けたくない」の思いは強く持っていたのではないだろうか。
「選手寄りの査定をするオリックスが厳しい提示をしたということは、他球団も容赦なく年俸を落として来るでしょう」(前出・ベテラン記者)
コロナ禍による試合数の削減、無観客試合の期間もあり、チケット収入、グッズや球場内飲食の収入も激減した。新型コロナウイルスは先発ローテーションを死守したドライチのメンツまで潰してしまったようだ。(スポーツライター・飯山満)