広島カープ森下暢仁は今季、10勝3敗、防御率1.91と、文句の付けようがない成績で1年目を終えた。シーズンを通して先発ローテーションを守り、規定投球回を投げ抜くなど、広島投手陣を牽引する立場にまで成長している。
シーズン終盤からは、中日の大野雄大と防御率トップを争う展開も繰り広げられている。球界を代表する左腕とペナントレースの最終盤まで僅差の争いを演じ続けるなど、ルーキーイヤーとは思えない程の逞しいマウンド姿を強くアピールした1年となった。
さらに、もう一つ注目を集め続けたのが新人王争いだ。巨人の戸郷翔征と激しく競い合い、最終的に白星を始め、殆どの投手成績で上回っている。17日に発表される新人王が確実視されており、一生に一度のタイトルを手中に収めていると言って良いだろう。
新人王獲得となれば、カープでは2014年の大瀬良大地以来となり、現在の大黒柱・大瀬良と同様の存在となれることへ想像が膨らむも、決して簡単な道のりではない。大瀬良とて、2年目以降は不振により中継ぎへの配置転換や、怪我にも苦しんだ経験を乗り越えた上で広島のエースにまで登り詰めてきた。いわゆる「2年目のジンクス」を乗り越え、ルーキーイヤーの勢いを翌年も継続するためには更なる努力が必要なのはもちろん、強いメンタルも求められる。来季は大瀬良と共に、カープのペナント奪還への原動力として飛躍への期待は大きい。
今シーズンオフには、森下にとって初の契約更改も行われている。
12月8日、球団新人では最高額となる推定4300万円で更改した。「ローテーションをしっかり守ったところを評価して頂いた」とコメント、さらには来季へ向け、「開幕で投げたい気持ちはある」と開幕投手への意気込みも語っている。
ペナントレース終盤、防御率タイトル争いを演じながらも、最後は「防御率1点台を維持したい」と数字に対して強いこだわりを見せている。歴代のルーキー以上に心身ともに頼もしさを感じさせてきた背番号18、森下暢仁ならば、来季の開幕マウンドに立つことも決して不可能ではないだろう。(佐藤文孝)