今シーズンのロペスは「81試合・.246・12本・42打点・72安打」と打撃低調で、8月26日にはDeNA移籍後初となる不振による二軍落ちを経験。9月22日に再昇格した後は一軍に帯同したままシーズンを終えたが、球団は来シーズンの戦力構想から外すことを決断。報道では来シーズン以降の現役続行を希望していることや、三原一晃球団代表が「ロペスは4打席に立って結果を出す選手。代打や守備だけで活躍する選手ではない。本人もレギュラーとして強い思いを持つ選手。総合的な判断で構想から外れてしまった」と構想外の理由を語ったことが伝えられている。
今シーズン中に国内FA権を取得したことにより、来シーズンからは外国人枠を外れ日本人扱いでのプレーが可能となるロペス。構想外発表を受けたネット上には「枠を圧迫せずに起用できるし、手を挙げる球団は複数あるのでは」として新天地候補を予想する声が白熱しているが、移籍に向けた懸念材料もある。
今回構想外となったロペスは、巨人時代からほとんど一塁しか守っていない選手。過去にゴールデングラブを5回(2013,2016-2019)獲得し、2017年から2019年にかけては、一塁手としてプロ野球最長となる1632守備機会連続無失策という記録も樹立するなど守備力にも秀でているが、既に一塁が固定されている球団からすれば“無用の長物”でしかない。
そもそも、一塁はチームを代表する長距離打者や新助っ人がつくことが多いポジションだが、今シーズンのロペスは昨シーズンの「142試合・.241・31本・84打点・133安打」から大きく打撃成績を落としている。36歳という年齢を考えると成績を持ち直すより、さらに落とす可能性の方が高いため、“不良債権”となるリスクを負ってまで手を挙げる球団があるかどうかは不透明と言わざるを得ない。
また、前述の三原球団代表のコメントを踏まえると、ロペスは代打や守備固めといったバックアッパーではなくあくまで先発としての出場機会を求めていることがうかがえる。もちろん、現役である以上レギュラーを狙うのは当たり前の話だが、他球団移籍をめざす上では「バックアッパーが嫌ならウチには必要ない」と足かせになってしまう可能性は否定できない。今シーズンの年俸が2億3000万円(推定)と高額な点も不安材料だ。
さらに、今オフの移籍市場には、“強打堅守の一塁専”であるロペスと役割が被るソフトバンク・内川聖一がいるのも痛い。内川は通算で「1977試合・.303・196本・957打点・2171安打」とロペスを上回り、2015年オフに合同自主トレを行った広島・鈴木誠也をブレークに導くなど他選手へのアドバイスでも実績がある選手。そのため、ストーブリーグでは内川に人気を持っていかれる展開も考えられなくはないだろう。
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過去を振り返ると移籍先は十分あると考えられていた選手にどこからも声がかからず、独立リーグへの移籍や現役引退に至ったケースは少なくないため、ロペスも“買い手なし”で終わる可能性は決して低くはない。それでも、一部からは「一塁が空いてて球場も狭いヤクルトなら獲得のメリットは大きいのでは」、「DHが使えるパ球団は、年俸次第だが獲りにいってもいい」といった声も挙がっている。今オフ果たして手を挙げる球団は現れるだろうか。
文 / 柴田雅人