今シーズン「43試合・.154・1本・12打点・12安打」と不振に終わった福留は、今シーズン限りで阪神を退団することを6日に球団が発表。同日に二軍で選手、スタッフにあいさつしたが、一軍の最終戦が11日に行われるのに合わせ、試合前に甲子園のロッカールームを訪れ一軍選手やスタッフとも別れのあいさつを交わしたという。
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来シーズン以降の現役続行を希望しているため、今後は他球団から誘いがあるかが焦点となる福留。一部ファンからは今季の成績や来年44歳を迎える年齢面を踏まえ新天地探しの難航を予想する声もあるが、獲得がメリットになりそうな球団がないわけではない。
福留は今シーズンこそ上記のように成績は振るわなかったが、それ以前は毎年2ケタ本塁打や100安打前後をコンスタントにマークしていた選手。通算得点圏打率「.290」と勝負強さも兼ね備えているため、打力に乏しい球団ではスタメン・代打の両方でまだまだ戦力になれる可能性は少なくない。
今シーズンの各球団のチーム打撃成績を見ると、チーム打率はヤクルト(.242)、ロッテ(.235)、代打打率は巨人(.189)、楽天(.149)がそれぞれのリーグでワーストの数字となっている。他選手へのアドバイスといった間接的な好影響も含め、このあたりの球団には獲得のメリットがあるのではないだろうか。
中でも、特に獲得のメリットが大きそうなのはロッテ、楽天のパ2球団。ロッテは今シーズンのチーム内首位打者が中村奨吾の「.249」と貧打に苦しんでおり、代打も佐藤都志也(.310)以外に常時送り出せる人材は不足しているため、スタメン・代打のどちらでも福留が戦力として貢献できる可能性は十分。また、昨オフ阪神を退団後入団した鳥谷敬が練習態度やアドバイスで若手に好影響を与えている点を踏まえると、福留獲得でも同様の効果が期待できるかもしれない。
楽天は浅村栄斗(.280・32本・104打点)、鈴木大地(.295・4本・55打点)、ロメロ(.272・24本・63打点)といった補強組の打者が活躍した一方、生え抜きの打者で彼らに追随するような選手が思うように出てきておらず、この点が今季リーグ4位に終わった一因ともいわれている。ただ、裏を返せば生え抜きが力をつければ必然的にチーム順位も上がるという見方もできるため、福留をコーチ兼任のような形で招いて生え抜きの底上げを図るのも一手かもしれない。
6日の二軍でのあいさつを伝える報道の中では、「体は元気なんで。気持ちが折れていない分、『まだまだ』というところ」と現役続行へ闘志を燃やすコメントもあった福留。その福留の獲得の手を挙げる球団は果たして現れるのだろうか。
文 / 柴田雅人